中国の一方的な軍縮行動の範囲の広いこと、減員の幅の大きいことは、国際軍備抑制と軍縮史上あまり見ないもので、中国政府と人民の軍備抑制と軍縮事業に対する確固たる信念と平和を愛し、発展を求める心からの願望を十分に体現している。
国防費をわりに低い水準に維持
中国は一貫して国防費の規模を抑制することを重視し、国防建設と経済建設の協調的発展の方針に従って合理的に国防費を決定している。改革・開放以来、力を集中して経済建設を行うため、中国政府は国防費の支出を厳しく抑えている。1979年から2004年にかけて、中国の国防費が同期の国家財政支出に占める比率は全体として低下する傾向を呈し、1979年は17.37%、2004年は7.76%で、2004年は1979年と比べて約10%下がった。
図表1 1979年から2004年までの中国の国防費が同期の国家財政支出に占める比率
17.37%、10.63%、8.91%、9.51%、8.16%、7.76%
1979年 1984年、1989年、1994年、1999年、2004年
世界全体から見て中国の国防支出の全般的レベルはわりに低いものである。中国の国防支出の低いレベルは、国防費の絶対値に表れているだけでなく、国防費が国内総生産(GDP)や国家財政支出に占める比率にも表れている。2004年の中国の国防費は人民幣2199億8600万元で、その年の国内総生産と国家財政支出に占める比率はそれぞれ1.61%と7.76%であった。2004年の中国の国防費はアメリカの5.77%、イギリスの41.03%、フランスの75.65%、日本の63.97%でしかなかった。2005年度の中国の国防費予算は人民幣2477億5600万元である。
図表2 2003年、2004年の一部諸国の国防費比較(金額単位 億ドル)
アメリカ ロシア イギリス フランス 日本 中国
注 表のデータの出所は上述諸国の公表した国防レポート、財政レポートまたはその他の政府文書である。2003年、2004年の平均為替レートはそれぞれ1ドル対人民幣8.2770元と8.2768元である。
図表3 一部諸国の2004年度国防費のGDPと財政支出に占める比率(%)
国 アメリカ ロシア イギリス フランス 日本 中国
GDPに占める比率 4.02 2.69 3.50 2.01 0.98 1.61
財政支出に占める比率 20.09 15.49 8.33 11.14 5.97 7.76
ここ数年来、中国は国家の経済発展と財政収入増加の基礎の上で、国防費を適度に増加しているが、その増加幅は小さい。1990年代以来の圧倒的多数の年度に、中国の国防費増長率は国家の財政支出の増長率より低いものであった。中国の増加する国防費は、主に次の五つの方面に使われる。1、軍人の給与と福祉待遇を増加する。軍人の生活レベルを社会の経済発展と同時に増加するように保証する。2、軍人の死傷保険、退役後の医療保険、軍人の住居補助金、軍人配偶者の基本的生活保障と社会保険補助金制度の確立など軍人の社会保険制度を完全なものにする。3、軍隊の体制・編成の調整・改革をを保障する。最近減員した20万人の軍人に対し適切な退役配置を行う。4、軍隊の人材養成への資金投入を増大する。人材激励メカニズムの構築、整備を行い、軍隊の人材戦略プロジェクトの実施を確保する。5、装備の経費を適度に増加する。近代的技術特にハイテク条件下での防衛作戦能力を向上させる。
図表4 1955年から2004年までの中国の国防費増加率と国家財政支出増加率(%)
増長率
年度
国家財政支出 国防費
中国政府は終始国防費を厳格に抑制、管理、監督する原則を堅持し、完全な管理体制と法規制度を確立している。中国政府は「中華人民共和国国防法」によって国防事務の必要経費を保障し、国防費を全額国家財政予算に計上し、「中華人民共和国予算法」に基づいて管理している。中国の国防予算は全国人民代表大会が審査、認可する公開かつ透明なものである。
区域の軍縮と信頼醸成措置
中国は区域の軍縮と信頼醸成措置をめぐる協力を非常に重視し、積極的に推進し、関係隣国と共通の認識に達し、一連の協定を結び、地区の安全環境を改善し、共同の発展を促進することに貢献した。これらの協定は中国の提唱した新しい安全理念を反映し、アジア・太平洋地域の安全対話と協力に対し、互いに同じく安全である、対話と協力で安全をはかる、平等に協議し、互いに利益になる協力を行う、第三国に対するものではない、他国の安全と安定に脅威と損害を与えない、防御的な国防政策を堅持する、軍隊の友好的交流を行うなどを含めて、普遍的な意義のある原則と精神を体現している。
1994年7月、中国とロシアは「危険な軍事活動の予防に関する協定」に調印した。1996年4月、中国はカザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタンと「辺境地区の軍事分野の信頼強化に関する協定」に調印した。1997年4月、中国は上述の諸国と「辺境地区における軍事力相互削減に関する協定」に調印した。上述の協定は「上海5カ国」の協力プロセスをスタートさせ、上海協力機構の発足と発展のためにしっかりした基礎を築いた。上海協力機構設立4年余り以来、わりに整った機構システムと法律基礎を構築し、安全、経済など諸分野の協力を順調にスタートさせ、いまは地区の安全、安定、発展を促す重要なメカニズムに発展しつつある。
1993年9月、中国とインドは「中印国境実際支配線地区の平和と安寧の維持に関する協定」に調印した。1996年11月、両国は「中印国境実際支配線地区の軍事分野における信頼醸成措置に関する協定」に調印した。2005年4月、中印両国は「中印国境実際支配線地区の軍事分野における信頼醸成措置の実施方法に関する議定書」に調印し、1996年の信頼醸成措置協定の関係条項の具体的な実施方法について合意に達した。上述協定の調印と実行は、中印国境の平和と安寧を維持し、両国の友好関係の発展を促進し、境界問題の平和的解決を推進する上で重要かつ積極的な役割を果たした。
2002年11月、中国はアセアンと「南中国海各側行動宣言」に調印した。同宣言は、南中国海の安定を維持し、南中国海で協力を行うという各側の共通の願望を顕示している。各側は平和的方式で領土と管轄権の争議を解決すること、争議を複雑化、拡大化させる行動をとらないこと、国防高官の対話と自ら進んでの合同軍事演習通報を通じて相互信頼を促進すること、海洋の環境保全と科学研究、航行と交通安全、海上探査と救助、国際犯罪取締りなどの分野で協力を積極的に行うことを約束した。2004年12月、中国とアセアンは「南中国海各側行動宣言」の後続行動を実行する高官会議を開き、会議は南中国海協力をスタートさせることについて重要な共通認識に達し、「南中国海各側行動宣言」後続行動実行合同作業グループを設立することを決定した。2005年8月、合同作業グループはフィリピンで第一回会議を開いた。
中国はアセアン地域フォーラム(ARF)の役割を高度に重視し、同フォーラムが信頼醸成措置を確立し、毎年自ら進んで「年度安全展望レポート」を提出するのを支持する。1997年から、中国はアセアン地域フォーラムの信頼醸成措置の中間会議を2回開催し、そのほか、中国安全政策訓練班、軍事後方勤務シンポジウム、非伝統的安全分野の協力強化シンポジウムなど八つの信頼醸成措置プロジェクトを実施した。中国はアセアン地域フォーラが国防官員の同フォーラム参与をちくじ拡大するのを支持し、2003年の同フォーラムの第10回外相会議でARF安全政策会議開催の提案を行い、2004年11月、北京で「ARF安全政策会議」第一回会議を開催した。
五、拡散防止の国際努力に積極的に参加
大規模殺傷兵器とその運搬手段の拡散防止は国際社会が直面している共通の任務である。中国は大規模殺傷兵器とその運搬手段の拡散に断固として反対し、国際拡散防止のプロセスに積極的に参与している。中国は拡散防止分野のすべての国際条約と関係国際機構に加入し、その他の国および関係ある多国間輸出規制メカニズムと積極的に交流、協力している。中国は国際社会の拡散防止問題解決の外交努力に積極的に参与し、対話と協力を通じて平和的方式で関係問題を解決することを推進している。
拡散防止の国際義務を履行
1992年に「核不拡散条約(NPT)」に加入して以来、中国は同条約の諸義務を忠実に履行し、条約の普遍性、有効性、権威性の擁護と強化に力を入れ、条約の核兵器拡散防止、核軍縮プロセス推進、原子力平和利用促進の三大目標の実現促進に努めている。
1984年、中国は国際原子力機関(IAEA)に加入した。1988年、中国は同機関と「中国での保障実施に関する中華人民共和国と国際原子力機関の協定」に調印し、自ら進んで一部の民用核施設を同機関の保障と監督の下に置いた。1998年、中国は国際原子力機関と保障・監督協定の付属議定書に調印し、2002年初めに中国は同付属議定書発効の国内の法的手続きを正式に終えて、核兵器保有国のうち最初に同手続きを終えた国になった。
|