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政府白書  
中国の民族区域自治

中国の若干の少数民族が集まり住む地域がわりに小さく、人口がわりに少なくしかも分散して、自治地方の設置に適しないことにかんがみて、「憲法」は民族郷設置の方法を通じて、これらの少数民族も主人公となって、自民族の内部事務を管理する権利を行使できるようにさせると規定している。 1993 年、民族郷制度の実施を保障するため、中国政府は「民族郷行政工作条例」を公布した。 2003 年末現在、中国は郷に当たる少数民族が集まり住むところに合計 1173 の民族郷を設置した。人口がわりに少なくしかも集まり住む区域がわりに小さいため区域自治を実行していない 11 の少数民族のうち、民族郷を設置した少数民族は九つある。

中国の民族自治地方は自治区、自治州、自治県の 3 クラスに分かれている。この 3 クラスの行政的地位を区分する根拠は、少数民族の集中的居住区の人口の多少、地域面積の大小である。各民族自治地方はいずれも中華人民共和国領土の不可分の一部である。民族自治地方の自治機関は国家の統一を守り、憲法と法律が当地で遵守、施行されるのを保証しなければならない。上級の国家機関と民族自治地方の自治機関はいずれも平等、団結、互助の民族関係を守り、発展させなければならない。

少数民族が集まり住む地方は、当地の民族関係、経済発展などの条件に基づき、歴史的状況を参酌して、チベット自治区、四川省涼山イ族自治州、浙江省景寧シェ族自治県などのような少数民族の集まり住む区域を基礎とする自治地方を設置することができる。また青海省海西蒙古族・チベット族自治州、甘粛省積石山パオアン族・トンシャン族・サラ族自治県などのようないくつかの少数民族が集まり住む区域を基礎とする自治地方を設置することもできる。

一つの民族自治地方にあるその他の少数民族の集まり住む区域では、相応の自治地方あるいは民族郷が設置され、例えば新疆ウイグル自治区内に設置されたイリ・カザフ自治州、イェンチー回族自治県などがそれである。民族自治地方は地元の実情に基づいて、漢民族あるいはその他の民族の住民区と町を一部分含むことができる。

一つの民族に大小さまざまな集まり住む区域がたくさんあり、行政的地位の異なる自治地方を設置することができる。例えば回族は全国に寧夏回族自治区、甘粛省臨夏回族自治州、河北省孟村回族自治県など行政的地位の異なる民族自治地方をたくさん設置している。

民族自治地方の名称は、特殊な状況を除き、地方の名称、民族の名称、行政的地位の順で構成される。例えば広西チワン族自治区は、「広西」が地方の名称、「チワン族」が民族の名称、「自治区」が行政的地位である。

民族自治地方の設置、区域境界線の画定、名称の構成は上級の国家機関が関係ある地方の国家機関や関係ある民族の代表と十分に協議して立案し、法的手続きに基づいて上級に報告し、認可を申請する。自治区の設置は全国人民代表大会が認可する。自治区の区域画定および自治州、自治県の設置と区域画定は国務院が認可する。民族自治地方を設置したあと、法的手続きを経なければ、撤廃または合併してはならない。民族自治地方の区域境界線を確定したあと、法的手続きを経なければ、改変してはならない。確かに撤廃、合併あるいは改変する必要がある場合は、上級国家機関の関係部門と民族自治地方の自治機関が十分に協議して立案し、法的手続に基づいて上級に報告し、認可を申請する。

(三)民族自治地方の自治機関の結成

民族自治地方の自治機関は自治区、自治州、自治県の人民代表大会と人民政府である。民族自治地方の人民代表大会には、区域自治を実行する民族の代表のほか、本行政区域内に住むその他の民族も適切な人数の代表をもつべきである。民族自治地方の人民代表大会常務委員会では、区域自治を実行する民族の公民が主任あるいは副主任を担当すべきである。自治区主席、自治州州長、自治県県長は区域自治を実行する民族の公民が担任する。民族自治地方の人民政府のその他の構成メンバーは、区域自治を実行する民族とその他の少数民族の人員を合理的に配備すべきである。自治機関所属の活動部門の幹部に、区域自治を実行する民族とその他の少数民族の人員を合理的に配備すべきである。

三、民族自治地方の自治権

民族自治地方の自治機関は「憲法」第 3 章第 5 節で定められた地方国家機関の職権を行使し、同時に「憲法」、「民族区域自治法」とその他の法律の規定に基づいて自治権を行使し、地元の実情に基づいて国の法律、政策を貫徹、実行する。上級の国家機関は民族自治地方の自治機関の自治権行使を保障する。

(一)自民族、自地区の内部事務を自主的に管理する

民族自治地方の各民族人民は憲法と法律から与えられた選挙権と被選挙権を行使し、人民代表大会代表の選出を通じて自治機関を結成し、自民族、自地区の内部事務を管理する民主的権利を行使する。中国の 155 の民族自治地方の人民代表大会常務委員会は、いずれも区域自治を実行する民族の公民が主任あるいは副主任を担任し、自治区主席、自治州州長、自治県県長はいずれも区域自治を実行する少数民族の公民が担任する。

自治機関が自民族、自地区の内部事務を管理する政治的権利を十分に行使するのを確実に保障するため、上級の国家機関と民族自治地方の自治機関はさまざまな措置をとって、少数民族の各クラスの幹部と科学技術、経営管理など各種の専門人材を大量養成している。 2003 年末現在、少数民族の幹部と各種専門人材の総数は 290 余万人に達した。

それと同時に、各少数民族はまた自民族の全国人民代表大会代表の選出を通じて、国家事務管理の権利を行使する。第 1 期全国人民代表大会以来の各期の全国人民代表大会の少数民族代表の比率はいずれも少数民族人口の比率より高いものである。例えば、第 10 期全国人民代表大会に少数民族の代表が 415 人おり、代表総数の 13.91 %を占めているが、人口の比率より 5.5 ポイント高いものである。どの民族にも全国人民代表大会代表がおり、人口が 100 万以上の民族にはいずれも全国人民代表大会常務委員会委員がいる。

(二)自治条例と単行条例を制定する権力を享有する

「民族区域自治法」は、「民族自治地方の人民代表大会は一般の地方国家権力機関の権力を享有するほか、当地の民族の政治、経済、文化の特徴に基づいて、自治条例と単行条例を制定する権利もある」と規定している。「中華人民共和国立法法」は、「自治条例と単行条例は当地の民族の特徴に基づいて、法律と行政法規の規定に対し臨時応変の規定を行い」、「自治条例と単行条例は法に依って法律、行政法規、地方的法規に対し臨時応変の規定を行う場合、本自治地方では自治条例と単行条例の規定を適用する」と規定している。「民族区域自治法」はまた、「上級国家機関の決議、決定、命令、指示は、民族自治地方の実情に適しない場合、自治機関は当該上級国家機関に報告し、認可を得て臨時応変に執行するか執行を停止することができる」と規定している。 2003 年末現在、民族自治地方は合計 133 の自治条例、 384 の単行条例を制定し、民族自治地方が地元の実際に基づいて婚姻法、相続法、選挙法、土地法、草原法などの法律に対し臨時応変の規定と補足規定を行ったものが 68 件ある。

(三)自民族の言語と文字を使用し、発展させる

民族自治地方の自治機関が公務を執行する時、自民族の自治地方の自治条例の規定に基づいて、当地に通用する 1 種あるいは数種の言語と文字を使用し、同時に数種の通用する言語と文字を使用して職務を遂行する場合は、区域自治を実行する民族の言語と文字を主とすることができる。内蒙古、新疆、チベットなどの民族自治地方は、いずれも自民族の言語と文字の使用、発展と関係ある規定あるいは実施細則を制定、実施している。

新中国の成立後、国は 10 余りの少数民族が文字を改良、制定するのを援助した。 2003 年末現在、中国では 22 の少数民族が 28 種の自民族文字を使用している。中国では、司法、行政、教育などの分野でも、また国の政治活動と社会活動でも、少数民族の言語と文字が広く使用されている。いまでは、中国共産党全国代表大会、全国人民代表大会、中国人民政治協商会議などの重要な会議はいずれも蒙古、チベット、ウイグル、カザフ、朝鮮、イ、チワンなど各民族の言語・文字で印刷した書類と同時通訳を提供している。

(四)少数民族の宗教信仰の自由を尊重、保障する

中国の少数民族の大衆はほとんど宗教信仰があり、チベット族の大衆がチベット仏教を信仰し、回族、ウイグル族などがイスラム教を信仰するように、多数の大衆がある種の宗教を信仰する民族もある。民族自治地方の自治機関は憲法と法律の規定に基づいて、少数民族の宗教信仰の自由を尊重、保護し、少数民族公民のすべての合法的かつ正常な宗教活動を保障している。 2003 年末現在、チベット自治区にチベット仏教の活動施設が 1700 余カ所あり、寺院に僧侶と尼僧が約 4 万 6000 人おり、新疆ウイグル自治区にモスクが合計 2 万 3788 カ所あり、神職者が 2 万 6000 余人おり、寧夏回族自治区にモスクが 3500 余カ所あり、神職者が約 5100 人いる。各種の宗教活動は正常に行われ、少数民族大衆の宗教信仰の自由は十分に尊重、保障されている。

(五)自民族の風俗と習慣を保持するか改革する

民族自治地方の自治機関は各少数民族の在来の風俗と習慣に基づいて生活し、社会活動を行う権利と自由を保障している。それには少数民族の生活習慣を尊重し、少数民族の祝祭日の習俗を尊重、配慮し、少数民族の特殊な食品の経営を保障し、少数民族の特に必要な用品の生産と供給を助成、保証し、少数民族の婚姻、葬儀、埋葬の習俗を尊重することなどが含まれている。それと同時に、少数民族が衣食住行、冠婚葬祭の各方面で科学的、文明的で健康な新しい習俗を推し広めることを提唱している。

(六)経済建設事業を自主的に配置、管理し、発展させる

民族自治地方の自治機関は法律の規定と自地方の経済発展の特徴に基づいて、生産関係と経済構造を合理的に調整し、国家計画の導きの下で、自地方の資金、物資とその他の具体的条件に基づいて、地方のインフラ建設プロジェクトを自主的に按配し、自地方に所属する企業、事業体を自主的に管理している。民族自治地方は国の規定に基づいて、対外経済貿易活動を展開することができ、国務院の認可を経て、貿易港を切り開くことができ、民族自治地方は対外経済貿易活動の中で、国の優遇政策を享受する。各民族自治地方はいずれも国の国民経済と社会発展の総体的計画に基づき、実際と結び付けて、経済・社会発展の計画、目標、措置を制定している。

 

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