中華人民共和国国務院報道弁公室
2006年12月・北京
前 書 き
二十世紀末に、中国の60歳以上の高齢者人口の比率は人口総数の10%を上回るに至った。世界通用の基準によると、人口の年齢構造はすでに高齢化社会に入ったと言える。新しい世紀に入った後、人口の高齢化の速度はさらに加速している。2005年末には、60歳以上の高齢者は1.44億人に近づき、総人口に占める比率は11%に達することになった。
中国は世界最大の発展途上国であり、高齢者人口の基数が増大していること、人口高齢化の速度が速まっていることと発展のアンバランスという条件のもとで、いかにして高齢者の合法的権益を保障し、高齢者事業の発展を促進するかということは社会発展の中で直面する大きな課題である。
中国政府はこれまでずっと高齢者事業に関心を示し、それを重視してきた。長年このかた、国は中華民族の敬老、養老の文化の伝統を発揚することに大いに力を入れ、適切かつ効果的な措置をとり、中国の国情にふさわしい高齢者事業発展のモデルを積極的に模索してきた。とりわけここ数年、中国政府は科学的発展観を全面的かつ徹底的に実行し、人口の高齢化の挑戦に積極的に対応し、高齢者事業の発展を経済社会が統一して発展することと社会主義調和社会を構築することの重要な内容とし、経済、法律と行政手段を総合的に利用して、高齢者事業をたえず推し進めている。
一、高齢者事業の国としてのメカニズム
「老いても養うところあり、老いても医療を受けるところあり、老いても教えを受けるところあり、老いても学ぶところあり、老いても為すところあり、老いても楽しむところあり」ということは中国における高齢者事業の発展目標である。ここ数年、中国政府はこの目標をめぐって、高齢者関連の法律、法規と政策の整備を強化し、高齢者事業の発展計画を制定し、高齢者活動システムを健全化し、人びとが広い範囲にわたって高齢者事業の発展に参加するよう奨励し、国際交流と協力を展開している。
1949年、中華人民共和国の成立以来、国は高齢者社会保障、高齢者福祉およびサービス、高齢者医療衛生、高齢者文化教育とスポーツ、高齢者権益の保障および高齢者関連産業など多方面の内容を含む一連の法律、法規と政策を発布した。ここ20年間に、全国人民代表大会およびその常務委員会、国務院およびその関係部門が発布した高齢者関係の法律、法規、規則と関連の政策は200件以上に上り、「中華人民共和国憲法」を基礎とし、「中華人民共和国高齢者権益保障法」を主体とし、関連の法律、行政法規、地域的法規、国務院の関係部門の規則、地方政府の関連政策を含む高齢者関連法律法規政策システムの枠組みを初歩的に形成するに至った。
中国政府は前後して「中国における高齢者関係の仕事の7年発展要綱(1994~2000年)」、「中国高齢者事業発展の第10次五カ年計画要綱(2001~2005年)」および「中国高齢者事業発展の第11次五カ年計画」を発布し、実施した。国務院の関係部門と地方の各クラスの人民政府はそれぞれの部門の高齢者関係の仕事の行動計画と現地の高齢者事業の発展計画を制定している。国は監督査察と評価の制度を確立し、計画の実施状況に対して中期と期末における検査を行い、計画の実行に力を入れている。同時に、高齢者事業統計指標システムと高齢者関係の諸方面の統計制度を確立し、計画の制定と監督査察および評価の仕事を完ぺきなものにするため、基礎データを提供している。前世紀の80年代いらい、前後して3回も全国的範囲で高齢者の置かれた状況を調査し、高齢者事業に対しての科学的な政策決定に重要なよりどころを提供した。
国務院は全国高齢者活動委員会を発足させ、全国の高齢者の仕事を統一的に企画し、コーディネートし、高齢者事業発展の戦略と重要な政策を研究、制定し、関係部門と協調して推し進めることで高齢者事業の発展計画を実施し、各地域の高齢者関係の仕事を指導し監督しチェックしている。全国高齢活動委員会主任は国務院副総理が担当し、傘下諸組織は国の26の部門によって構成され、委員は傘下諸組織の副部長に相当する指導者が担当している。委員会には事務機構があり、日常活動を取りしきっている。現在、全国にはすでに省(自治区、直轄市)、地区(市、州、盟)、県(市、区、旗)、郷(鎭、街道)各クラスの高齢活動委員会およびその事務機構を基本的に確立し、村(住民)委員会には高齢者の関係活動を担当している専任者が置かれ、初歩的ではあるが中央から地方にかけての仕事のネットワークを形成するに至った。
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