―土地の保護、開発、整備。中国政府は耕地保護を基本的国策とし、厳格な耕地保護政策を実行している。国は基本農地保護区を画定して、食糧安全の確保に重要な基礎を提供している。同時に土地用途管制制度を確立し、建設用地総量と構造を厳しくコントロールし、むやみに耕地を占用する現象を抑制している。2004年の各種の建設が占用した耕地は前年と比べて37%減少し、総体的に占用量と補給量の均衡を実現した。国はまた土地の開発・整理にいちだんと力を入れ、土地開発整理プロジェクト管理制度を確立し、国の投資による土地開発整理プロジェクトを実施し、耕地総量の動態的均衡を維持し、生態環境を改善している。第10次五ヵ年計画期に、農村と都市部の土地、災害によって破壊された土地、工業・鉱山地区の廃棄した土地などに対し、科学的な土地開発、整理・再開墾を行い、再開墾された土地は7万6000ヘクタールに達し、配置が整い、生態環境が良好な新農村が多く建設され、一部の資源枯渇型都市と重点鉱山地区の生態環境がいちだんと整備され、回復した。
―水土保持。国は北京・天津の風砂発生地整備、首都の水資源の持続可能な利用のための水土保持、黄土高原地区の水土保持のための土手作り、東北地区の黒土地帯と珠江上流の南盤江と北盤江の石灰岩地区の水土流失の総合的防除など多くの特別プロジェクトを実施し、水土流失の重点的防除範囲は長江と黄河の上中流から東北地区の黒土地帯、珠江上流と北京・天津周辺地区などの地区に拡大された。国が展開しているモデル区とモデルプロジェクト建設のうち、完成面積が200平方キロ以上の水土保持プロジェクトは300余件、水土保持生態建設のモデル県は190県、モデル小流域は1398ヵ所ある。第一陣として面積が300平方キロを下回らない62のモデル区と50余りの水土保持科学技術モデルゾーンの建設が始まった。全国の188の県で水土保持生態修復試行工事を展開しており、国の水土保持重点工事区で封育保護(荒地を金網で囲い、人や家畜の進入を禁止して植生を回復させる)を全面的に実施し、その面積は12万6000平方キロに達し、さらに「三江源区」(長江、黄河、瀾滄江の水源地)で水土保持の予防・保護プロジェクトを実行している。現在、25の省(自治区、直轄市)の980の県は全域または一部の地区で山での放牧を禁止し、禁止の範囲は60余万平方キロに及び、禁止区内の植生がわりに早く回復した。第10次五ヵ年計画期に、全国で水土流失を総合的に防除した面積は24万200平方キロに達し、小流域を1万1500ヵ所以上総合的に整備し、基本的農地を406万ヘクタール建設し、水土保持林、経済・果樹林、水源涵養林を1533万ヘクタール営造し、砂止め土手、傾斜地水系などの小型水土保持プロジェクトを350余万ヵ所、土手を7000ヵ所建設した。
―防砂と砂漠改造。中国政府は土地の荒漠化、砂漠化の防止を生態環境を改善し、生存と発展の空間を開拓し、経済社会の協調と持続可能な発展を促進する戦略的措置とし、「防砂治砂法」を公布、実施し、「全国防砂治砂企画(2005~2010年)」を認可し、「防砂治砂活動のいちだん強化に関する決定」を公布し、一部の防砂治砂の重点プロジェクトを実施し、荒漠化と砂漠化の面積を同時に減少するようにしている。2004年末現在、全国の荒漠化土地は263万6200平方キロ、砂漠化土地は173万9700平方キロで、1999年と比べて、5年間で全国の荒漠化土地面積は3万7924平方キロ、砂漠化土地面積は6416平方キロ減少した。土地の荒漠化と砂漠化がやや軽くなり、重度、極重度の荒漠化面積は24万5900平方キロ減少した。荒漠化と砂漠化が全面的に拡大するすう勢は初歩的に抑制された。
―海洋の環境保全。中国はすでに海洋環境保全の法体系や行政部門の法律執行体系を基本的に形成し、海洋環境モニタリングネットワークを作り、海洋機能区画、近海海域環境機能区画を制定、実施し、海洋資源を合理的に開発、保護し、海洋汚染と生態破壊を防止し、海洋経済の持続可能な発展を促進している。中国政府は海に流入する主要河川の汚染防除計画と重点海域の環境保全計画を積極的に実施し、渤海に次いで2005年に長江河口と隣接海域、珠江河口と隣接海域の汚染除去活動を始動させ、長江河口、珠江河口とその隣接海域で、川と海を統一的に計画し、陸地と海上を同時に考慮する陸域と海域が同時に行う環境モニタリングと調査活動を展開した。中国政府は海洋プロジェクトと海上廃棄物排出の審査認可制度を厳格に実行し、排出活動に対し法律執行監視を強化し、海洋環境モニタリングを強化した。国は「赤潮災害応急対策」と「海洋石油探査開発の石油流出のための応急計画」を認可して、国家災害緊急管理体系に組み入れ、海洋災害応急メカニズムを初歩的に構築した。船舶の汚染防除と危険品輸送管理を強化し、海上船舶石油流出応急体系の建設を積極的に推し進めている。2004年末現在、中国はすでに各クラスの海洋自然保全区を120ヵ所設立し、多くの海洋の希有種を保護し、さんご礁、マングローブ、海草床など重要な生態環境を保護している。漁業の漁獲強度を抑制し、漁船の数を減らし、休漁制度を整備し、漁業資源保全区を設立し、海洋漁獲量の「ゼロ増加」を実施するなどの措置をとって、海洋の漁業資源を保護、回復している。
―自然保全区、生態機能保護区、風景名所区の建設。中国政府は自然保全区の設立を生態環境保全の重要な措置としている。2005年末現在、全国で各クラスと各種の自然保全区が2349ヵ所設立され、面積は150万平方キロに達し、陸地国土面積のほぼ15%を占めている。類型がわりにそろい、配置がわりに合理的な全国自然保全区ネットワークが初歩的に形成されている。全国の85%の陸地生態系統類型、85%の野生動物種類、65%の天然植物群落類型はいずれも保護されている。国は河川の水源地、重要な水源蓄積区、河川洪水調節蓄積区、防風砂漠固定区およびその他の重要な生態機能を備える区域で生態機能保護区の建設を展開し、東江源、洞庭湖、秦嶺山地など18ヵ所の典型的な区域で国家クラスの生態機能保護区設立の試行を始めた。内蒙古、黒竜江、江西、湖北、湖南、甘粛、青海などの省(自治区)で地方クラスの生態機能保護区建設を展開している。現在、中国政府の審査を経て命名された風景名所区は677ヵ所あり、その中に国家重点風景名所区は187ヵ所ある。泰山、黄山、峨眉山―楽山、武夷山、廬山、武陵源、九寨溝、黄竜、青城山―都江堰、三江並流などの国家重点風景名所区と一部の自然保全区は、それぞれユネスコの「世界遺産目録」または「国際人と生物圏保全区ネットワーク」、「国際重要湿地目録」に入っている。全国に各種の森林公園が1900余ヵ所も建設され、その中に国家森林公園は627ヵ所ある。全国に国家地質公園が85ヵ所あり、そのうち、安徽省の黄山、江西省の廬山、河南省の雲台山、雲南省の石林、広東省の丹霞山、湖南省の張家界、黒竜江省の五大連池、河南省の嵩山など8つの地質公園は最初に世界地質公園ネットワーク目録に入れられた。
―生物多様性の保護。中国は生物の種類が非常に豊富な国であり、国は「中国生物多様性保護行動計画」を制定し、「中国生物多様性国情研究レポート」を編纂し、「生物種資源保護利用企画」を編成した。現在、全国に野生動物救助繁殖基地が250ヵ所、野生植物種資源保育センターまたは遺伝子保存センターが400余ヵ所設立されており、これらの部門は200余種の絶滅に瀕している希有野生動物と千種もの野生植物の安定した人工種群を創出した。同時に、国が重点的に保護している野生植物資源の調査と緊急救助式の収集を展開し、農業野生植物原生地保全区を67ヵ所設立した。全国で外来侵入種の調査を行い、危害がわりに大きい主な外来侵入生物に対し「十省百県」の害毒を取り除く行動を展開し、公衆の外来侵入生物防止の意識と能力を高めた。全国野生植物資源調査の189種の野生植物のうち、安定して生存、発展する基準に達する野外種が71%を占めている。全国野生動物調査の252種の野生動物のうち、安定しながら増えている種が55.7%を占め、ヨウスコウワニ、トキなど絶滅に瀕している希有野生動物種は数倍に増加し、野生ジャイアントパンダの頭数は1596頭、人工飼育頭数は183頭に達している。一部の種の分布区はちくじ拡大され、黒嘴カモメ、クロツラヘラサギなど種の新記録、新しい繁殖地または越冬地がたえず発見されている。100余年間にあとかた知れず、国際自然保護連盟に世界の極端に危篤な種と発表されたニオイヒバは新たに発見された。
―湿地保護。中国政府は「中国湿地保護行動計画」を公布し、「全国湿地保護プロジェクト企画(2002~2030年)」「全国湿地保護プロジェクト実施企画(2005~2010年)」を編成、実施した。現在、全国に湿地自然保全区が473ヵ所あり、総面積は4346万ヘクタールに達している。自然保護区に組み入れられ、効果的に保護されている自然湿地は45%近くに達し、洞庭湖、ロカ陽湖、扎竜など30ヵ所の湿地は国際重要湿地目録に入れられ、面積は346万ヘクタールに達している。一部の重要な湿地の面積は安定して拡大され、生態機能が回復、改善され、湿地面積が急速に減少する現象は効果的に抑制されている。都市部の湿地資源保護は重視、強化され、国は都市湿地公園を10ヵ所認可した。
七、環境経済政策と投入
ここ10年は中国の環境保全投入の増幅が最も大きい時期であり、努力を経て、政府を主導とする多元環境保全投資融資体制が初歩的に確立された。
―環境保全への財政投入を増加する。第10次五ヵ年計画期に、中央財政は環境保全資金を1119億元支出し、そのうち、国債資金は1083億元で、主に北京・天津地区の風砂発生源除去、天然林保護プロジェクト、農地を林(草)地に戻すプロジェクト、三峡ダムサイトとその上流地区の水汚染除去、「三河三湖」の汚染除去、汚水とゴミの産業化と再生水リサイクルプロジェクトなどに使用した。1998年以来、国は環境インフラ建設を国債投資の重点とし、大量の社会資金を環境保全に投入するように促進している。1996年から2004年にかけて、中国の環境汚染除去への投入は同期のGDPの1%を占める9522億7000万元に達した。2006年、環境保全の支出科目は正式に国の財政予算に組み入れられた。
―環境費用徴収政策を整備する。汚染物排出費の徴収と管理を強化し、汚染物排出費の徴収と使用は収支別々管理を厳格に実行し、排出費の収入は環境汚染防除に使用する。二酸化硫黄排出費の徴収範囲を拡大して、すべての二酸化硫黄を排出する企業、事業体、個人経営業者から二酸化硫黄排出費を徴収し、また排出費を高くし、キロあたり0.2元から0.63元に引き上げた。都市部の汚水、ゴミ、危険廃棄物処理費の徴収政策を実行し、社会資金を多種の方式で環境保全施設の建設と運営に投入するように導き、汚染除去の市場化、産業化のプロセスを積極的に推し進める。都市部の汚水・ゴミ処理特許経営制度を制定、推進する。一部の地方は汚水処理場とゴミ処理場など政府の建設した施設を入札を通じ、契約の方式で企業に運営させ、政府の監督と管理を強化し、環境保全資金投入の効果と利益を高めている。
―環境保全に有利な価格・税収政策を制定する。再生可能なエネルギー費用の分担メカニズムを構築する。再生可能なエネルギーを使用する発電機が電力網に送る電気の価格が地元の脱硫石炭燃焼ユニットの電力網に送る電気の価格より高い部分、国の投資または補助によって建設された公共の再生可能なエネルギーの独立電力系統の運営維持費用が地元の省クラスの電力網の平均電力販売価格より高い部分、および再生可能なエネルギーを使用する発電所の電力網連接費用などは、電力ユーザーから特別料金を徴収することによって解決される。鉄鋼、電解アルミ、鉄合金など製品の輸出税払い戻し額を何回かに分けて減らし、または取り消す。自動車産業のグレードアップに有利で、自動車の汚染を軽減する税収政策を制定し、期限前に低汚染の排出基準に達した自動車生産企業に対し、消費税を30%減少する。再生資源を回収し、資源を総合的に利用し、環境保全の産業設備を生産する企業、廃水、廃ガス、固体廃棄物を主な原料とする生産企業に対し、税減免の優遇政策を実行する。耕地占用税政策を厳格に実行し、土地資源を合理的に利用し、土地管理を強化し、農業用の耕地を保護する。石炭、原油、天然ガスなど鉱産物の資源税の税額基準を陸続と高め、鉱産資源をいちだんと保護し、資源の合理的開発・利用を促進する。
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