中国料理を世界にアピールする大きな一歩
経済グローバリゼーションの時代において、食というきわめて地域特性のある文化コンテンツは、いっそう重要なソフトパワーの構成要素になっている。今日の発展途上国は、世界の主流文明に溶け込んで自国の発展を期すことと、強力な文明から自国文化を守り継承せねばならないという二重の課題に直面していると言える。辺疆氏は言う。「世界遺産申請は中国料理を海外にアピールする格好の場であり、中国食文化を広める絶好の機会でもある。申請の成否にかかわらず、『中国料理を世界で共有する』雰囲気を作り上げ、中国の料理を本当の意味で世界へと向かわせることができる」。
世界で中国料理をさらに普及させるために、中国調理協会は中国料理の世界遺産申請を契機に、国内外の専門家を招いて代表的な中国料理800品(主食を含む)の名前を標準的な英語に翻訳して統一し、中国料理が世界に進出するうえでの「言葉の壁」をなくした。
中央テレビ『舌の上の中国』の料理顧問を務めた董克平氏も、「世界遺産申請は、中国料理の世界規模での普及を助ける大きな一歩だ」と評価する。董氏によれば、今日でも、国外のチャイナタウンの中国料理はその地域で最も値段が安く、これは我々の文化的地位とまったく合致していない。従って、中国料理が世界遺産に登録されれば、海外の中国料理業もさらなる発展の機会を手にすることになるだろう。
ニュージーランドで中国料理レストランを数軒経営する華人の招暉氏は国際電話取材を受けた際、次のような見方を示した。「中国飲食業も中国文化の一部分であり、世界遺産に登録されれば、中国料理は今よりもっと現地の社会に溶け込みやすくなり、現地主流社会の認識を深められる。これはとてもいいことだ」。
中国料理の世界遺産申請は、世界に向けて中国文化をアピールする契機であると同時に、国内で中国伝統食文化の精髄を発揚し、伝統的な調理技術をよりよく継承し保護することにも役立つ。辺疆氏は、「それこそが中国料理を世界遺産申請する最も重要な目的なのだ」と語った。
「北京週報日本語版」2015年6月8日
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