上海地区をカバーする衛星測位システム「北斗」の高精度地上強化ネットワークが、9月11日に竣工し稼働を開始する予定だ。これは北斗が「天地一体」の測位構造を形成し、測位の精度をメートル級からセンチメートル級に改善し、GPSとの差別化競争を開始したことを意味する。解放日報が伝えた。
現時点での実力を比較すると、北斗はGPSを上回っていないばかりか、後発者の優位を占めてもいない。GPSは「グローバル・ポジショニング・システム」という名に恥じず、24基の衛星で地球を周回し、全世界のカバー率が98%に達する。20年弱の民間用市場の開発を経て、GPS信号はすでに各国の各地に届いている。中国は16基目となる北斗衛星を昨年10月に打ち上げ、北斗衛星測位システムの地域サービス能力を形成した。北斗はGPSに続く宇宙の全天候型の時空基準となり、地上に向け測位・時報・ナビゲーションのサービスを常に提供している。
短期間内に一気にGPSの独占を打破することはできないが、北斗は独占を目指すのではなくGPSとの「共存」戦略をとる。上海市と中国衛星測位システム管理部門は共同で、長江デルタの北斗応用モデルプロジェクトを推進する。北斗(上海)位置情報総合サービスプラットフォームを通じ、上海はモバイル端末、車載機器などの商品に北斗モジュールを埋め込み、GPSとの「ダブルモジュール」方式を採用する(デュアルSIMに相当)。ユーザーはナビゲーションを取り替えずに、より多くの測位衛星の信号をキャッチすることで、精度を高めることが可能だ。
上海北斗プラットフォーム公司の施興徳董事長は、「これまで北斗衛星測位システムの誤差は約10メートルであったが、地上強化ネットワークにより、その測位の誤差をセンチメートル級に向上できる。各種指標は、成熟したGPSと同等、もしくはそれ以上の水準に達する。例えばリアルタイムの測位精度は1-3メートルに達し、リアルタイムでなければセンチメートルの差も判断できる」と説明した。
北斗の「メートル級」ナビゲーションがあれば、端末は大通りだけでなく、どの車道を走っているかまで認識できるようになる。例えばマイカーがラッシュ時にバス専用レーンに入ってしまった場合、北斗システムを搭載したナビゲーションならリアルタイムで「車道を変更してください」と伝えることができる。車両が高速道路の料金所に入る場合も、どれがETCレーンで、どれが一般レーンかを判断できる。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年9月9日 |