▽高速で移動する中でのドッキング、多くの試練
ドッキングの技術は理論上では主に軌道ダイナミックスと制御理論が基礎となっているが、実際に実現するのは容易いことではない。中国は海外の成熟した技術を導入したことがなく、ゼロから研究をスタートするしかなかった。
周総設計師によれば、中国人はこれにより、以下の3つの試練に直面したという。
第1の試練は測量だ。2つの宇宙機の距離がわずか数十キロにまで近づいた時、観測制御ネットワークはそれぞれの相対的な位置をそれ以上正確に取得することができなくなる。このため、宇宙機同士が相互に感知し合い、徐々に接近しなければならない。マイクロ波レーダー、レーザーレーダー、画像測定など世界最新鋭の技術を採用しているものの、地上では宇宙空間を完全に再現することができないため、成功するかどうかは今回のテストで初めて検証される。
第2の試練は制御だ。まず、制御の精度という点から見ると、ドッキングの前には、神舟8号を天宮との横方向のずれがわずか数センチ以内の範囲にコントロールしなければならない。また、今回打上げられる物は1キロ、1グラムの重さにいたるまで、全て綿密に計算されている。
第3の試練はドッキングだ。複雑な測量と制御を経て、2つの宇宙機はますます接近する。最も緊張する瞬間だ。フック状をした宇宙機上の捕捉機関がもう一つの宇宙機を捕捉する。その後の引き寄せ、ロックなどの一連の動作は一気に行われなければならない。もし少しでもミスがあれば、毎秒7.7キロのスピードで飛行する宇宙機が重大な事故を招く可能性もある。
周総設計師は「我々はこのドッキング任務が有人宇宙飛行プロジェクト史上、最大のリスクを持つ任務だと認識している。これまでにドッキングの経験が無く、またシステムが複雑なため、我々の認識が至らない部分もあるだろう。それこそが最大のリスクだ」と語る。
これまでの宇宙事故のほとんどは事前に思いつかなかった点が原因となっている。周は「我々はまず、設計の正確さを保障し、地上でのテスト・検証を確実かつ充分に行い、品質を保証するべく全力を上げ、その上で予想外のアクシデントなどを充分に考慮し、しっかりと緊急対応マニュアルを作成するという構想で指導を行っている。宇宙事業に携わる者は、リスクに直面する勇気をもたなければならないが、盲目的に危険を冒してもならない」と語る。(編集SN)
「人民網日本語版」2011年10月26日 |