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文化・科学・観光  
蜃気楼ゆらめく「人間の仙境」――蓬莱

 

                   それぞれの持ち物を手にした八仙(蓬莱閣内で撮影)

八仙は最も代表的な道教の仙人で、八仙にまつわる物語は中国に広く伝わっている。中でも最も有名なのは「八仙過海」のくだりだろう。ある日西王母の誕生祝いに出かけた八仙は、酒に酔う。帰り道、ただ船に乗って海を渡ったのではつまらないということになり、それぞれの持ち物を使って海を渡ることにした八仙。その途中で海の中の仙女をからかったところ、仙女は怒って海を荒らし、八仙に戦いを挑んだ。八仙は各自の持ち物で戦い、無事に海を渡ることができた。この物語から、「各自がそれぞれのやり方で腕を振るって競う、それぞれ能力を発揮する」という意味の「八仙過海,各顕神通」という言葉が生まれた。そして八仙が海を渡った場所が、まさにこの蓬莱なのである。

        蓬莱閣からの眺め。八仙は遠方に見える塔のあたりから海を渡ったと伝えられる

「八仙過海,各顕神通」という言葉とともに、八仙は人々に深く浸透している。おめでたい絵柄とされ、掛け軸や陶磁器などにもよく描かれる。ところで、おめでたい絵柄で複数の男性に女性が1人と言えば、日本で言えば七福神のようなものだ。「七男一女」の八仙に対し、七福神のほうは恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋の「六男一女」。紅一点は弁財天だ。七福神の起源には諸説あるらしいが、そのうちの1つにこの八仙起源説というのもある。八仙が日本に渡る途中で1人がいなくなり7人になったとか、船を漕いでいた1人を船頭と勘違いして7人しか数えなかったという説が伝わっている。もっとも、大黒天、毘沙門天、弁財天はインド系の神が元になっているとされているから、七福神八仙起源説の信憑性は高くないようだ。しかし、縁起物や福をもたらす存在として、中国と日本とで似たような信仰の対象があること自体は非常に興味深い。

日本を思い起こさせる伝説と言えば、徐福伝説もそうだ。蓬莱は徐福の出航地と伝えられる場所の1つでもある。秦の始皇帝の命を受け、3000人の童男童女と百工を従え、五穀の種を持って東方に船出し、「平原広沢」を得て、王となり戻らなかったという、あの徐福である。中国に来てから、複数の人に「日本人の祖先は中国人だ」と言われたが、その根拠になっているのがこの徐福伝説だ。

伝説の真偽はさて置き、蓬莱閣から遠方にかすむ長島を眺めていると、それぞれの宝物を使って海を渡る八仙の姿が眼前の海上に見えてくるような感覚にとらわれる。始皇帝や漢武帝をとりこにした「人間の仙境」に、どうやら私もさまよいこんでしまったらしい。

「北京週報日本語版」2011年10月11日

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