4カ国語で書かれた鑑真和上と梁思成について説明する立て札
◇互いに照り映える一対の石灯籠◇
鑑真記念堂前にある石灯籠は、1980年に鑑真和上像が初めて里帰りした時、唐招提寺から寄贈されたものである。27年後の2007年4月、温家宝首相が日本の国会で演説した際、この石灯籠について触れたことがある。
温家宝首相は演説で、石灯籠が唐招提寺から贈られたものであると前置きし、「この石灯籠は日本の唐招提寺にあるもう一つの石灯籠と1組になっています」と、右手人差し指を立てて、一対であることを強調した。そして「この1組の灯籠は今なお消えることなく燃え続け、はるか遠くから互いに照り映え、中日両国人民の子々孫々にわたる友好の明るい将来を象徴しています」と語り、議場から大きな拍手が起きた。
温家宝首相の日本での演説は、中国でも生中継され、その後この石灯籠を見に来る人たちが増え、日中文化交流の親密さを確認した人たちも多かった。石灯籠の脇には、温家宝首相の言葉が付け加えられ、灯籠の中にある小さな明かりは30年間燃え続けている。炎はそれほど明るくはないが、揺れ動く日中関係を底辺で支えるように一貫して消えることはない。
鑑真和上が日本側の要請に応じ、徒日して唐招提寺を建立し戒律を伝えるとともに、さまざまな中国の文化を日本に紹介した。梁思成は唐招提寺を模して設計し、鑑真記念堂が建てられ、鑑真の記録を後世に伝えた。現代に至り、唐招提寺から石灯籠が記念堂に贈られ、一対の灯籠に火がともされ燃え続く。それを中国の首相が日本の国会で演説して紹介する。灯籠の明かりは小さいが、連綿と続く日中文化交流を象徴するように燃え続ける。長い交流の一つの出来事として和上像の30年ぶりの里帰りがあり、梁思成との初対面があった。流れる歴史の一コマとして捉えれば、2人の初対面は、記録に残すに値する大きなニュース価値があったのではないだろうか。
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