近い将来、パリのユネスコ本部に中国の風光明媚な風景が出現する――。蘇州市庭園管理部門によると、中国政府は文化プロジェクの一環として、蘇州の古典的庭園をモデルにした「易園」(仮称)をユネスコに提供することになった。設計はすでに蘇州市庭園設計院によって完成しており、ユネスコが関係書類を審査する。
寸金の地に庭園
ユネスコ本部内に中国の伝統的文化を示す庭園を造る計画は、05年下半期にユネスコ執行委員会議長の章新勝氏が提案。検討を重ねた結果、蘇州の庭園をモデルにすることになった。
パリは世界の文化芸術の中心。名勝旧跡は非常に多い。ユネスコ本部はパリの中心部にあり、建物と庭園は50年代中期のもの。国連の中で最大の組織だ。庭には50年代に日本政府が寄贈した日本式庭園や各国が贈呈した彫刻品が十数点ある。中国庭園は敷地の一角、700平方メートルの三角形状の土地に建設することになった。
蘇州市園林・緑化管理局の衣学嶺局長は「ここは立地条件がすこぶる良い。100数カ国の常駐者や使節団が毎日出入りし、通りを行き来する人も観賞できる」と話す。
中国の風情を再現
蘇州の庭園がユネスコに造られるようになったのは、意外なことではない。蘇州の古典庭園は中国の山水庭園の典型的、代表的な存在。古代の造園家は自然を崇拝し、自然に真似る原則に従って、都市に山水と建築物、花や木からなる居住環境を創り出した。また築山や樹木、あずまや、台、楼閣、池や小橋など、限られた場所に無限の境地を切り開くのが、小規模でも精緻な蘇州庭園のもつ長所だ。
蘇州市は昨年6月初めごろから設計に着手。パリでの実地調査を何度も行い、十数回も設計を変更して現在の設計プランを完成した。
『周易』が由来
「易園」の名は中国古代の経典的著作『周易』に由来する。『周易』には中国伝統の自然観があふれ、自然に順応し、自然を追求し、人と自然が調和するという理想を具体的に示している。
衣局長によると、「易園」は8つのエリアから構成される。入口は庭園の北側。飾り模様のある窓や月形の門を通して、池やあずまやなど園内の景色が眺められる。メインの庭園の敷地面積は550平方メートル。水を中心とした庭園は200平方メートル。
設計プランはまずユネスコ芸術委員会が審査し、執行委員会が承認した後、パリ市政府の審査をパスすれば最終プランとして決定される。
衣局長は「順調に行けば、年内には着工できる」と意欲をみせる。
「北京週報日本語版」2007年2月16日
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