本誌記者 馬 力
「小さい頃から『空竹』が好きでした。一生離れられません」。北京市通州区にある四合院造りの農家で、ある中年男性が演じる高難度の「空竹」(中国ゴマ)パフォーマンスが記者と見物人の目を奪っていた。コマを操るのは「空竹張」の異名を持つ張国良さんだ。
竹製の「空竹」について説明する張国良さん
56歳の張国良さんは中国伝統民間玩具「空竹」作りの伝承者だ。張さんは30年余りにわたって「空竹」作りに打ち込んできた。伝統工芸を継承しつつも革新に取り組み、民族文化や現代芸術などを「空竹」作りに取り入れ、独自の作品を生み出してきた。張さんは何度も国内外の大型民俗イベントに参加して世界に中国の「空竹」文化を伝え広めてきた、「『空竹』文化を最初に世界に広めた人」なのである。
中国の「空竹」は千年もの歴史があり、最初は宮廷の遊びだった。ひもの振動でコマを高速回転させて音を出す玩具である。伝統的な「空竹」は竹で作られるが、今では竹以外の素材を使ったものも出てきている。「空竹」にはいくつかのタイプがあり、円筒形の胴と軸の組み合わせにより、双輪空竹、単輪空竹、双軸空竹、双軸多輪空竹、双輪多層空竹などに分けられる。ほかにも、形が通常とは異なるものもある。
「空竹」は中国漢族の民間に伝わる伝統的な曲芸・遊びで、全国各地で見られ、特に北方で盛んだ。2006年、「空竹」は最初の国家級無形文化遺産リストに登録された。
|