北京郊外でタンカを学ぶ
絵師たちはタンカを描く前にまず牛膠でタンカ画布を処理する。すべてのタンカはこうした処理済みの画布の上に描かれる。
画布の準備が終わると、鉛筆で下絵を描く。これがタンカ製作の最初のステップであり、基礎である。下絵を描き終わると、着色だ。タンカの色は想像に任せて勝手に塗ってはいけない。関連書籍の記載通りに、そして優秀な伝統技法を参考にして着色していく必要がある。着色後は細部の縁取りをし、最後に仏像の装飾部分に「描金」という工程を施す。
青海省黄南州同仁県隆務寺鎮霍加爾村出身の学生。幼い頃からタンカを学んでいる
教室では、2人の学生が手作業で金粉と金箔を細かく砕いていた。ぺメ氏によると、この金粉は主に仏像の輪郭を取って装飾する「描金」の工程に用いるという。タンカ絵師は金粉と金箔を細かく砕き水と合わせて液体状にし、それを毛筆につけ、着色済みの仏像の輪郭を描いていく。輪郭が取り終わると、硬筆で磨きをかける。こうすることで初めてタンカが色褪せるのを防ぐことができる。
単純な作業だが、金箔を細やかな金粉に砕いていくのは決して易しいことではない。学生たちはもう2日もこの作業を続けているという。
タンカ作品に仏体、衣服、各種装飾や供え物、風景など全てを描きこんだ後、最後に仏の顔を描く。
タンカの良し悪しを判断する最も重要な基準は、仏像と人物の風情が真に迫っているかどうかである。これは、線描のほかにタンカ技法で最も難しい「開眼」の工程にかかっている。
喬旦本さんは師について多くのタンカを着色してきたが、最後の開眼の作業をやったことはない。今年22歳の喬旦本さんは青海省黄南州同仁県隆務鎮吾屯上村の出身で、タンカを学んで7年になる。
喬旦本さんは「北京タンカ芸術伝承班に来て2年になります。青海ではぺメ先生の門下で学んでいたので、先生について一緒に北京に来ました。故郷を遠く離れたのは、先生から技巧や仏の理、タンカを学ぶためです」と語った。
ぺメ氏は、喬旦本さんには素質があり、10年鍛錬を積めば開眼をマスターしタンカ絵師として一人立ちできると考えている。「開眼で失敗すれば、タンカをダメにしてしまう」と喬旦本さんは言う。「今の最大の望みはいつか仏の目を描き入れられるようになり、先生のようなタンカ絵師になることです」。
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