「文化の海外進出」と「文化体制改革」は、今回の両会で盛んに議論されたテーマだった。いかにしてより良く世界に中国を伝えるか、従来からの対外宣伝刊行物の改革とモデル転換について、『北京週報』は全国政協委員、中国外文局副局長兼編集長、中国翻訳協会副会長兼秘書長の黄友義氏にインタビューした。
「文化の海外進出」というと、中国の伝統文化の紹介を考えがちである。2009年、フランクフルト・ブックフェアで中国が特別招待国として開催したイベント「国際中国学と現代中国」で、黄友義委員は特に「現代中国」を強調した。「文化の海外進出」において、黄委員は、中国の伝統を紹介した上で、現代中国文化の宣伝報道も重要視するべきだと考えている。
外国人は中国五千年の文化に興味を持っている。それは問題ない。例えば中国の伝統的祝日などを外国人は知りたがっている。しかし今では、外国人と中国人の生活は密接になり、外国人はビジネス、学業、就業、観光などの面で、現代中国を知る必要が出てきている。
外国人に「中国の何が知りたいか」と聞くと、答えはみな映画、テレビ、家庭生活、若者、住宅、就業、進学、婚姻問題といった現代の問題だ。外国人と中国の関係が密接になるにつれて、中国の今への関心も高まっている。
17期六中全会は、「中華文化を世界に向かって推し進め」、伝達方法を革新し、国際的な発言権を強化し、外国の関心に適切に応えることを明確に打ち出した。中国の基本国情、価値観念、発展の道、内外政策に対する国際社会の理解と認識をいかにして増進するかについて、黄友義委員は次のように語った。
まず方法の革新だ。これには2つあって、1つは技術面、例えば動画やネットワークだ。ipadの出現はすべてのメディアにとって新たな挑戦だった。2つめは運営手段の革新。これまでは自分たちで編集し、印刷していた。『北京週報』は北米での宣伝拡大のため、現地で米国人を雇い、中国人社員と一緒に米国の読者向けの記事を取材・執筆し、現地の編集者をさらに活用し、発行の面でも現地メディアと提携を行ってはどうか。革新は多方面にわたって行うことができる。
黄氏は、伝達内容の面で、外国人の関心は何かを理解し、外国人に伝わる表現で伝えなければならないと考えている。
外国人が特に関心を持っているのは中国経済脅威論だ。彼らは脅威だと考えているのだ。確かに、中国経済の発展と外国人の利益が衝突している点は認めなければならない。だからどうすればWINWINの関係を築けるのかを説明する必要がある。それから、外国人は中国の大量の輸出にも不満を抱いている。これについては、外国の一部伝統産業がだめになったのはコスト高や手段の立ち遅れが理由で、中国のせいではないということをきちんと伝えなければならない。一方で、感謝の気持ちも伝えるべきだ。外国が中国の商品を買ってくれなければ、多くの工場が閉鎖され、中国の輸出は減ってしまうだろう。世界経済は一体化している。各国間に多くの共通利益があることを認め、互いに感謝する気持ちを持つべきだ。こうしたことを外国人が聴いて分かるように話して初めて、中国文化を本当に紹介したことになる。その過程が、中国文化を伝えるということなのだ。
「北京週報日本語版」2012年3月29日
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