本誌記者 繆暁陽
壁を上り下りするロボット、自然結晶の成長によって誕生した大きな球体、医療の進化を解説する3Dシアター、世界一のトイレ…上海万博で、ハイテク満載の日本産業館は「日本が創るより良い暮らし」というテーマを貫いている。約3時間かかって入館を待つ人々の長蛇の列は日本産業館の人気の高さを示している。近ごろ、本誌記者は日本産業館を訪れ、その人気の秘密を探った。
日本産業館の西側の壁面に設置されたパイプを上り下りするロボット
日本産業館の秋岡栄子館長によると、日本産業館の運営は中国のスタッフの協力を得て、非常にうまくいっている。同館はとても人気があり、朝、万博の会場に入ると、真っ先に日本産業館に来る人もとても多く、パビリオンのドアを開ける前に、だいたい800人から900人が並んで入館を待っている。待ち時間は2時間半から3時間にも及ぶが、来場者はとてもきちんと並んでおり、トラブルや混乱が1つも起きていない。
日本産業館には「リユース、パルス、サービス」という3つの大切なコンセプトがある。これについて、秋岡栄子館長は次のように述べた。「『リユース』は建築のデザインとも大きく関わっている。日本産業館の会場はもともと江南造船場という清朝時代に作られた大きな造船場の跡地だ。私たちは更地に何もないところにパビリオンを建てるのではなくて、残された工場の大きな屋根と柱の中にパビリオンを作り、古い建物をリユースするというところから、日本産業館のパビリオンの建築をスタートした。『パルス』というのは、私たちのパビリオンの中の展示、演出のシステムだ。日本産業館の中には10以上の展示区域があるが、どれも3分間演出をして、1分で次のところに行く、お客様も4分おきに70人の人たちが前へ前へ進むようになっている。これは単に1つのパビリオンの中のお客様のご案内システムということではなく、これから北京だとか、上海だとか、いろいろな中国の大都市の交通システム、あるいはいろいろな管理システムを作るときに、『パルス』という考え方、つまり楽しませながら、自ら次に行きましょうということが大変大事だ。『サービス』について言うと、私たちは日本から参加している民間のパビリオンだ。このパビリオンには22の民間企業と2つの地方自治体が参加している。日本の企業、あるいは中国からの観光客をたくさんお迎えしたいと思っている日本の地方都市は、どうしたらお客さまに喜んでいただけるのか、どうしたら観光客の中国の方に喜んでいただけるのかということを常に考えている。そういうサービスの心、おもてなしの気持ちを形にして、上海万博から中国の方たちに伝えたい」。
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