日本館で展示されているエコカー、電気自動車(繆暁陽 撮影)
日本館で展示されているワンダーカメラ(繆暁陽 撮影)
日本館で展示されているバイオリンロボット(繆暁陽 撮影)
日本館の展示は過去、現在、未来の3つのゾーンに分かれており、日本の伝統から最新技術まで幅広い分野を、視覚、触覚、聴覚などを通じて感じることができる。江原規由館長によると、日本館の3つのゾーンで来館者に訴えたいのは、①日本は過去、中国から技術や制度などを取り入れ政治や文化の発展に役立ててきたこと、②日中両国は独自の発展を遂げて現在に至ったこと、③今後、環境問題など地球的規模の問題に両国が協力して対応していくだろうということである。
「過去」と称された第一ゾーンで強く感じるのは中国的要素を持つものの多さである。「つながりの驚き」と題されたこのゾーンは遣唐使の時代を中心に日本がどのように中国文化を取り入れていったのかが描き出されている。1200年の歴史を持つ国宝級の織物、西陣織も展示されており、多くの観客の関心を引いていた。西陣織に用いられる刺繍技術も15、16世紀に中国宮廷で生まれたさまざまな技術が伝わり、進化したものだ。
「現在」と称された第二ゾーンでは日本の四季・暮らし、ファッショナブルな都市の日本人(家族、スポーツ、ダンス、雨の日)が紹介され、また、省エネ技術や浄水技術など地球規模で直面している難題を解決する技術も展示されている。さらに、都市レベルで二酸化炭素の排出がゼロになる2020年の未来都市、ゼロエミッションタウンを実物展示。エコカー、床発電、家庭用燃料電池ユニット、発電窓、有機EL照明など20余りの環境技術を体感できる。
「未来」と称された第三ゾーンで特に目を引いたのが「ワンダーカメラ」と「バイオリンロボット」である。「ワンダーカメラ」はキヤノンが開発した、超高精細・超望遠機能に加えて動画を撮影しながら笑顔を自動的に抽出する機能を持つ未来のコンセプトカメラ。館内で撮影した動画が大スクリーンに映し出されると、観客からワーッと歓声があがる。「バイオリンロボット」はもともと介護や家事支援を目的としてトヨタが開発したパートナーロボットである。手先の器用さをアピールするため中国の有名な楽曲「茉莉花」を演奏する姿も一見の価値がある。また、このゾーンには500名収容の伝統的な木造の劇場舞台がある。過去、現在、未来をつなぐ、日中交流・協力の象徴としての朱鷺保護活動をモチーフとし、両国の伝統劇である能と昆劇を組み合わせるという大胆なショーはまさに日本と中国の関係の深さを示す素晴らしい取り組みだ。
「日本館では、環境問題への対応をクローズアップしている。日本館の劇場で演じられる日中共同で朱鷺の絶滅を救った物語、そして、環境関連機械・機器の展示も、地球規模の環境問題への対応を具体的に提示したものだ。日本館のテーマである『心の和・技の和』との関連では、例えば、水質問題。汚れた水は、日本館でも展示実演されている現在の最先端技術(技)をもってすれば、きれいで飲める水にすることができる。ただ、その前に、水を汚さないという気持ち(心)が何より必要だ。『心』と『技』が調和(和)してこそ、よりよい未来があるということだ。『心の和・技の和』の『和』は、『和諧社会』の『和』と、『技』は『科学発展観』の『科学』の意味するところと相通じるところがあると思う」と江原規由館長は述べた。
「北京週報日本語版」2010年6月2日 |