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スポーツ  
北京がロス五輪を救った

 

▽中国語に精通した特使を派遣

現在62歳のリー氏は、ロサンゼルス高裁の判事職をすでに定年退職している。リー氏が中国語を学び始めたのは、海軍に所属していた1960年代末のことだ。その後、台湾で2年間の研修も積んだ。夫人も香港出身の中国人だ。ロス五輪の準備段階で、五輪組織委員会規則の起草にはリー氏の働く法律事務所も加わった。中国語に精通した特使が必要になった時、ユベロス会長がリー氏を思い浮かべたのは、このためだ。

リー氏は70年代と80年代に何度か中国を訪問し、長年外国人に扉を閉ざしてきたこの国に深く引きつけられた。「大多数の地方では、夜に電気もない。空港から市中心部への道路はただの細い道。当時中国に西洋人はいくらもいなかった。中国語を話せる西洋人となると、なおさらだ。当時中国側は私を電球工場などへ案内した。夜になると、手品のショーへも連れて行かれた」。

1984年5月の訪中では、中国側の熱烈な歓待を受けた。数度の会合の後、中国政府の体育部長がリー氏にロス五輪への参加を伝えた。リー氏は中国側に、ユベロス会長宛の書簡を書くよう求めた。「当初彼らは口頭で参加を伝え、文書にまでする必要はないと考えていた。だが私は再度要求した。最終的に彼らは、親切にもあの書簡を渡してくれた。すべての過程は完璧だった」。

だが、誰よりも喜んだのはユベロス会長だ。ユベロス会長は「あれはわたしの人生にとって、1つの転換点だった」と語る。ユベロス会長のキューバ訪問は成功しなかったが、リー氏の中国訪問は思いがけない成功を収めた。ユベロス会長は「中国の決定によって、ロス五輪はバランスを取り戻した」と強調する。

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