素晴しい修復作業
サキャ寺は建立以来、数回にわたって修復されてきたが、2002年に着工した同作業はこれまでに投入の最も大きいものだ。サキャ寺は海抜4300メートルのところにあるため、酸素不足や乾燥した気候が修復作業に大きな困難をもたらしている。
サキャ寺の施工期間はとても短い。毎年の5月から9月にかけてが施工期間で、それ以外の時間には材料の準備や補強工事などが行われている。
サキャ寺の壁画修復は「三大重点文化財保護修復プロジェクト」の中で、修復面積が最も大きく、投資が最も多く、難度が最も高い部分だ。壁画の総面積は2000平方メートル余りで、800年以上の歴史がある。歳月の移り変わりを経て、はっきりとは見分けられなくなった壁画もある。
壁画の修復は温度や湿度への要求が高いため、施工期間もそれに従って短くなる。昔の様子を再現させるため、修復作業グループは地元出身の職人を多く雇っている。彼らは壁画に体現される宗教的意義をよく理解しているからだ。
修復作業が始まった途端に、地元の庶民や僧侶が意見の食い違いを示した。
ニマツェレン組長は、「僧侶の理念と政府の文化財保護の理念に食い違いがある。『こんなにたくさんのお金を使ったからには、寺院を壊して新しいサキャ寺を再建してもいいのではないか』と僧侶は考えているが、われわれの理念は歴史の真実を回復させることだ」と指摘。
修復の重要さと意義をラマたちに繰り返し説明した結果、双方は「原状回復」ということで一致に至った。
政府はサキャ寺の文化財を展示するため、境内に博物館を建てている。
現在までに、寺院の城壁、角楼、敵楼、僧房の修復作業がすでに完工し、通報装置、消火設備、電気・照明設備、排水設備、避雷設備の据付作業もスタートし、今年9月に完成の予定だ。
今日のサキャ寺
02年の修復作業開始後、サキャ寺を訪れる観光客や僧侶が増えてきており、自分の目で同寺の修復過程を確かめてきた。
サキャ寺の班典頓玉(パンディエンドンユィ)住持は、「訪れる観光客がますます多くなり、ラッシュ時には日に1万人以上となる。内陸の観光客もいれば、台湾や香港、外国からの観光客もいる」と説明する。
同住持は、「5年前、北京で修士課程に学んでいた頃、チベット仏教に興味を持つ人が少なくないことに気づいた。チベット仏教に関わる問題を尋ねられたこともある」と指摘。
現在までに、チベットでは1400カ所の寺院、旧跡、宗教活動拠点が修復され、人々にオープンされている。政府は「第11次5カ年計画」(2006~2010年)期間中、5億7000万元を投じて22カ所の文化財修復保護工事を行うことにした。1978年から2010年にかけて、チベット文化財保護修復への中国政府の投資は12億元以上となる。
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