本誌記者 馬 力
「現在、私たちの合作社(協同組合)の年間利益は17万元となり、村民の生活も日に日に豊かになってきた。今後5年で、青海チベット道路沿いに生活体験館を建て、よく多くの観光客にチベット文化を理解してもらい、チベットの特産品を買ってもらって、牧畜民が豊かになるのを助けたい」。3月29日、チベット自治区ダムション(当雄)県ヤンパツェン(羊八井)畜産品加工販売専門合作社で、チベット族のガマヅンズィサンポ(嘎瑪尊追桑布)さんは記者にこう語った。
ガマヅンズィサンポさん
2011年、ガマヅンズィサンポさんは西北民族大学を卒業した後、チャムド(昌都)地区の公務員に合格した。だが、2012年、企業設立という夢を叶えるために故郷に戻り、ダムション県ヤンパツェン畜産品加工販売専門合作社を設立した。
「公務員をやめて故郷に戻って起業することには、当時ちょっとした勇気が必要だった」。ガマヅンズィサンポさんによると、自分の会社をつくることは数年来の夢だったという。大学の頃から、同級生と一緒にラサから買ってきたチベット風の装飾品を蘭州へ持っていって露店で売り、生活費を稼いでいた。「その頃から、故郷の手作り工芸品をよその土地へ持っていって、より多くの人々に私の故郷を知ってもらい、チベット文化を理解してもらおうと思っていた」。
ガマヅンズィサンポさんの故郷の経済は牧畜業が主体で、ヨーグルト、奶渣(乾燥させた固形ヨーグルト)、奶餅(乾燥チーズ)といった乳製品や、カシミヤ、羊の皮、ウールなどの伝統的な手工業製品が特産品として代々引き継がれてきた。村民は古くからの技能を守っているものの、ずっと良い販路を見つけられていなかった。
「村でただ1人の大学生として、自分が尽力することで、故郷の人々が貧困から脱し裕福になるのを助けたい。村民たちに教育の重要さと価値を理解してもらいたい」。そう語るガマヅンズィサンポさんは、当初自分が商売をやって貯めてきた5万元を出して、103人の村民とヤンパツェン畜産品加工販売専門合作社を設立した。
合作社では、忙しそうに働いている社員の姿が見られた。一階にある作業場では女性社員が木製の織機でチベット布を織っている最中だった。カウンターには、奶渣、奶餅、チーズ、毛織物、タンカ、チュバ(チベット風の長衣)などの特産品が並んでいる。二階に上がると、数人の職人が羊の皮でできたチュバに柄を刺繍しているところだった。
「こうした手作りのチュバは表も裏も羊の毛皮で作られており、襟と袖口は絹の刺繍で飾られている。チベット暦の新年になってから今までに、もう20数枚売れた。合作社設立から現在まで、年間純利益は2年連続で17万元に達している」。ガマヅンズィサンポさんは誇らしそうに話した。
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