現代人はいつもデータで成否を論じる。データから見ると、チベット衛星テレビの影響力は明らかに弱い。メディアの競争が激しい今日、どのようにして抜きん出て、正しいポジションを探し出し、自らをPRし、チベットをPRするかは、彼と同僚たちがずっと考えている問題である。ロブツェリン氏は、「現代社会において、人々は心の追求と思いやりを切望している。チベットは多くの人の心の琴線に触れることができる」と考えた。それもあって、今回のチベット衛星テレビ番組改編発表会を「最心霊」(最もスピリチュアルな)と名づけたのである。
「今日のチベットは単純な地名の範疇を超え、様々なシンボルになっている。都市から脱出する人々の目的地であり、秘境の旅をする人々の究極の目標でもある。チベットは芸術家のパラダイス、冒険者の楽園、巡礼者の目指す聖地であり、私たちの心の故郷でもある。ため息をつきながらチベットに来たのに、歌を歌いながら家へと帰るという人は多い。国道318号線を自転車で旅する人々、青海とチベットを結ぶ青蔵公路上に長蛇のように続く車の列、巡礼者と道連れになって孤独を楽しむように徒歩で進む人……。彼らのストーリーはチベット衛星テレビのドキュメンタリー素材となり、こうした人々を記録することで、多くの人たちの心の旅路を的確に表現し、文化の相違や衝突、包容をも表現することができる」。ロブツェリン氏は今日のチベットをこう描写する。
ロブツェリン氏は、チベットが人々の心を引きつけてやまない最大の魅力の源はその集団的信仰にあると話す。例えばラサでは、マニ車を回して祈る人や巡礼者を至るところで見かける。このような集団的意識、共通の神と信仰は、チベットの人々に共通するまなざしや微笑み、心を育み、チベットを人々にとって共通の心の故郷にしている。「今や、海抜の高さは国道318号線や青蔵公路、空路を利用し、自ら車を運転し、自転車に乗り、ひいては徒歩でチベットを訪れる人々を阻みはしない。地理的に言えば、チベットは訪れる人々に辛い思いをさせるが、精神面での魅力は観光面での魅力をはるかにしのぐ」。ロブツェリン氏は誇らしげに語った。
「北京週報日本語版」2015年3月5日 |