国務院はこのほど、「機関事業単位^*従業員養老保険制度改革に関する決定」を公布した。中国の養老年金「二重制度」改革がついにスタートを切った。ここでは、図を使って中国の養老年金制度一本化改革をご説明しよう。 

＊機関事業単位：機関は国家機関。事業単位は、国家が社会公益目的のため、国家機関により運営あるいはその他組織が国有資産を利用し運営するもので、教育、科学技術、文化、衛生などの活動に従事する社会サービス組織。以下、国家機関と事業単位を合わせて「機関」とする。 

　養老年金二重制度とは？  

養老年金「二重制度」というのは、機関事業単位の従業員と企業の従業員で養老年金制度が異なっていることを指す。機関事業単位の従業員は計画経済期から引き継がれている年金保障制度に基づいた年金待遇を享受し、国の財政から給付される。つまり、機関従業員は退職の際、退職時賃金水準に基づき、勤務年数に応じて年金基準が決まる。通常は退職時賃金の 70～90％が給付され、保障水準が高い。一方、企業従業員の年金制度は改革開放後に徐々に確立されたもので、勤務先と個人が保険料を納付する必要があり、退職時に養老保険計算給付規則に基づいて待遇が決まる。給付額は退職時賃金の 60％未満となる。このように、機関事業単位と企業の年金制度には著しい待遇差があった。 

養老年金制度一本化改革とは？ 

 　養老年金一本化改革は、機関事業単位と企業の養老年金を同じ軌道上で運営し、同じ制度にすることである。つまり、機関事業単位従業員と企業従業員は、在職時に同じ「比率」（保険料の賃金に占める割合）で保険料を納付し、退職後に同じ「比率」（養老年金計算公式）に基づいて養老年金を受給する。しかしこれは機関事業単位と企業の養老年金水準を等しくできるということではない。機関事業単位従業員の賃金水準が企業従業員より高ければ、前者が在職時に納付する保険料額は後者より多くなり、退職後に受給する養老年金額も後者より多くなる。