保障された末端の民主
張さんはすでに還暦を過ぎ、数年前には楼道長(地区の自治会長)も辞めて、現在はもっぱら家で老後生活を送っているため、村の民主にはもうそれほど関わっていない。しかし、「暮らしぶりが豊かになるほど利益をめぐるもめごとも複雑になる」という道理は承知している。
永聯小鎮の愛心互助街
確かに、今の永聯村はもう当時の数百人ほどの貧困村ではなくなり、村民だけでも1万900人余り、さらに1万余りの流動人口を有し、2013年の村の可処分所得は1億1500万元に達した。生活水準が上がると、それにともなって新たな対立と問題も起こるものだ。村民の二次分配、立ち退きと移住の方法、村民配偶者待遇管理など重大施策の決定は数万人の切実な利益に影響を及ぼす。このような複雑で具体的な状況をなおも村共産党委員会の決定に委ねていたら、想定外の対立や後遺症が生じるのは必至だ。
張さんが最近聞いたところでは、村に新しくできた「議事庁」はなかなかうまくいっており、張さんの身近でも称賛する人が少なくないという。
張さんの言う「議事庁」というのは、永聯議事庁のことだ。呉棟材書記がドイツ視察で欧州議会議事堂を見て導入を決め、同議事堂を真似て2012年に作られた中国初の「農民議事堂」である。4千万余りを投じて建設されたこの円形の議事堂には計285の固定席があり、中央に発言席が設けられている。議事堂にいるすべての人が同等で公平な権利を持つことができるよう、どのブロックの席からも直接発言席に行けるようになっている。2階には大きなガラス窓が設けられ、会場の隅々まで見渡せる。その目的は、すべての議事過程と全代表が会場で述べた意見を村民代表にはっきりと理解してもらい、政策決定権と議事権の透明化を実現することだ。
永聯小鎮の親子活動室
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