植木に水をやる梁治宝さん。梁さんは伴侶に先立たれ一人暮らしをしている
60歳の梁治宝さんは甘粛省沙井鎮興隆村二社の出身で、伴侶に先立たれて一人暮らしをしている片目の不自由な高齢者だ。農村のすべての貧困者、身体障害者、伴侶に先立たれた一人暮らしの人々と同じように、梁治宝さんは農村住民最低生活保障政策の恩恵を受けており、毎月306元の生活補助を受給できる。2009年に張掖市甘州区敬老院が完成後、梁治宝さんは最初の入居者の一人となった。甘州区敬老院は運営資金全額を国が負担する郷鎮の敬老院で、高齢者が自ら管理する管理モデルを採用している。熱心で仕事もよくできるため、梁治宝さんは衛生班のリーダーになり、敬老院内の衛生管理を任されている。
「ここには衛生班と労働班がある。衛生班には30数人のメンバーがいて、毎朝食事の後にメンバーと一緒に院内の清掃をする。労働班にも数十人メンバーがいて、野菜栽培を主に担当している。敬老院の後ろには十数ムー(1ムーは15分の1ヘクタール)の土地があり、ここで食べる野菜はほぼ自分たちで育てたものだ。高齢者たちは身体に問題がなければ皆何か仕事をしたいと思っている。そうすれば本人も元気が出る」と梁治宝さんは話す。
もちろん、すべての伴侶に先立たれた高齢者や独居老人が梁治宝さんのように幸運なわけではない。甘州区敬老院の方德佳副院長は、「わずか200床余りの甘州区敬老院はとうに満員で、入居待ちの人が200人以上もいる」と説明する。
日増しに高まる高齢者福祉ニーズと高齢者福祉施設不足の間の矛盾はすでに全国的な問題になっている。中国民政部2014年通報によると、6月末現在で、全国に高齢者福祉施設は4万カ所近くあり、ベッド数は500万床余りで、前年同期比で18.22%増えた。高齢者1000人当たりのベッド数は25.2床で、前年同期比で13.26%増となっている。これらのデータから、中国政府が長年にわたり根気よく続けてきた苦労と労働の成果が見て取れるが、それでもなお、中国の高齢者福祉施設の建設状況、高齢者福祉サービス業の総合レベルと先進国との間には依然として大きな開きがある。
そのため、中国政府は近年、より多くの政策措置を打ち出し、各地に対し高齢者福祉サービス業の発展に力を入れるよう要求した。2014年6月、甘州区敬老院のある甘粛省は『高齢者福祉サービス業の発展加速に関する実施意見』を打ち出した。意見には同地区の2020年までの取り組み目標が明確に記されている。都市・農村をカバーする高齢者福祉サービス体系を構築し、高齢者福祉サービス施設をすべての都市コミュニティー、90%以上の郷鎮、60%以上の農村コミュニティーに行き渡らせ、社会の高齢者福祉用ベッド数を高齢者1000人当たり35床以上にする、という目標である。
甘州区敬老院の方德佳副院長は、「張掖市政府の支援の下で、甘州区敬老院は浜河新区に新しいタイプの高齢者福祉モデル基地を建設する予定だ」と話す。
「高齢者福祉サービス業は商業化しすぎてはいけない。商業ベースの高齢者福祉施設は利益を追求し、費用基準が高すぎて、大多数の庶民は入居することができない。だから、やはり民営非営利性の施設をもっと増やすべきだ。政策支援、政府主導、社会参与の三つの面が結びついて初めて、社会全体の高齢者福祉問題を真に解決することができる。ここ数年、中国政府の基礎高齢者福祉サービス業に対する投資と支援は非常に大きなものだ。各種優遇政策も多い。今後、中国の高齢者の生活はさらに保障されると信じている」。方德佳副院長はこう指摘する。
「北京週報日本語部」2014年10月11日 |