本誌記者 哇春芳
ある社会の文明度を検証するには、その社会がどれだけ裕福であるかを見るのでも、科学技術がどれだけ先進的であるかを見るのでもなく、高齢者や子供、病人や身体障害者の社会における地位と境遇を見るべきである。
甘粛省定西大坪村に住む董友芳さんは、毎朝、年老いた妻と一緒に家の前に腰かけて日向ぼっこをする。85歳と高齢の董さんには三人の息子と三人の娘がいる。現在董さんと同居しているのは末の息子の一家だ。心臓病や高血圧などいくつか持病はあるが、董友芳さんは今の生活にとても満足している。「今は生活が楽になった。家も暮らし向きも以前よりずいぶんよくなり、病院で診察してもらうのも便利になって、村で診てもらえる。それに政府は私たちのような高齢者に毎月お金を支給してくれる」と董さんは言う。
董友芳さんの生活は、現代中国における農村部高齢者の生活のささやかな縮図にすぎない。それと同時に、中国政府が長年続けてきた苦労に満ちた努力と探求の証明でもある。
『中国高齢事業発展報告(2013)』のデータによると、2013年末現在、中国の高齢者人口はすでに2億200万人に達し、高齢化レベルは14.8%と、国連の高齢化統計基準10%をはるかに上回り、世界で高齢者人口が最も多い国となった。社会保障制度が未整備で、依然として現代化の途中にある発展途上国にとって、人口高齢化による一連の厳しい試練にうまく対処し、高齢者福祉問題を適切に解決することは、確かに非常に大きな難題である。
2009年、中国政府は新型農村養老保険(新農保)を全国規模で大々的に普及させ始めた。新農保口座は個人口座養老金と基礎口座養老金の2つの部分から成っており、そのうち基礎口座部分は政府から直接補助される。現行政策に基づくと、満60歳以上の高齢者は保険に加入しなくても毎月55元の基礎養老金を受給できる。金額は多くはないが、過去に比べると大きな進歩であり、農村部の高齢者の生活の質向上においても顕著な効果を上げている。
農村部の高齢者と比べて、都市部の高齢者の懐具合はもっと余裕がある。統計によると、都市部高齢者の85%は退職後に退職金を受け取っており、これに子供からの援助や貯蓄習慣を加えると、その経済収入と消費レベルはおしなべて農村部の高齢者より高い。しかし農村部の高齢者と同じなのは、大部分の都市部高齢者が選択する主要な老後の暮らし方がやはり在宅の老後生活であることだ。
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