だが、都市の発展のためには、各レベルのマンパワーが必要であり、人口は『理由なく』集中している訳ではない。例えば、都市と農村が混在している地域での小売業は、それほどハイレベルな労働力を必要とはしない。その場所に適した人々が自然に集まっており、都市の発展は、彼らとは切っても切り離せない。また、北京のビジネス・金融の中心地である国貿エリアでは、おのずと低所得者が制限されている。
大都市に住む若者は、高すぎる生活コストという難問を抱えている。彼らにとってはかなり残酷なことだが、種の進化と同様、これは、より優秀なものを残すための自然淘汰のプロセスといえよう。
中国の大都市では、不動産の高騰が続いているため、生活コストの上昇幅は、同じ発展段階にあった時の他国よりかなり大きい。深刻な不動産バブルによって、物価が急激に高騰した。国民は、不動産市場に対する政府のコントロール策に望みを託し、理性的なレベルに戻ることを期待した。しかし、たとえ不動産バブルが生まれなかったとしても、住宅価格の上昇傾向に歯止めはかけられなかっただろう。需要の拡大に伴い、引き続き人口が北京・上海・広州に集中しているからだ--。
復旦大学人口研究所の任遠・教授は、「一部の若者に起きている『北京・上海・広州脱出』現象を軽視することはできない。大都市の高すぎる生活コストと過酷な競争によるプレッシャーによって、『外地からの移住者』を取り巻く環境は悪化の一途を辿り、若者たちの幸福感が下がり、一部に『脱出者』が生まれた」との見方を示した。
中宏人寿保険と「理財週報」がこのほど共同で実施した「中国中産家庭の幸福度調査」の調査結果によると、重慶・四川・江蘇・福建4地の住民幸福度が最も高く、回答者の約半数が、「今の家庭生活に満足している」と答えた。一方、住民の幸福度が最も低かったのは、経済が最も発達している深セン・北京・上海・浙江で、中産階級家庭にとって、「幸福が感じられない」都市である事実が判明した。
中国就業研究所の副研究員を務める中国人民大学労働人事学院の葛玉好・准教授は、次のような見方を示した。
「若い人は、自分自身と北京・上海・広州など大都市との関係と問題点を冷静に分析するべきだ。北京・上海・広州が、他の中・小都市に勝っている、報酬などの『目に見える』要素だけではなく、自らが払うべきマイナスの対価についても考慮しなければならない。高い家賃、高い物価、結婚後の子供の進学問題など、あらゆる問題を考えに入れる必要がある。また、両親などの身内と離れて暮らすことも、ある程度の心理的負担がかかる。このような心理面でのコストは、距離が遠いほど大きくなる。幸福感という点で見ると、中・小都市で就職した大学生が、大都市で仕事をしている大学生より幸福感が高いことは、珍しいことではない」。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年10月31日
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