中国教育部(教育省)留学サービスセンターが発表した「留学生帰国就業報告(2012)」によると、2012年に海外留学から帰国した人のうち、独身者が8割を占めた。海外留学組の未婚率がこれほど高い理由はどこにあるのか?人民日報海外版が伝えた。
○仕事が第一、結婚は避けたい
3年間の英国留学を終えて2011年に帰国した呂岳川さんは、帰国後ずっと、自分のエネルギーのほぼ全てを仕事に注ぎ込み、恋愛や結婚について考える暇などなかったという。「帰国した最大の理由は、仕事面での成功を実現することであり、自分の価値を仕事で最大限に発揮したいと強く願っている。だが、家庭を持つと、家庭のことに気が散ってしまい、独身の時のように全エネルギーを仕事に向けることはできなくなる」と呂さんは心情を明かした。彼によると、海外留学の経験がある周囲の友人たちの多くも、彼と同じ考えという。
このように、「まず仕事での成功が先、結婚はその後」という考えは、海外留学組の中でも、とりわけ男性に顕著に見られる。海外帰国組を対象とした求人サイト「海帰精英網」や婚活サイト「イ火伴網」を創設した王国偉氏は、このような現象について、「海外留学からの帰国者を含め、多くの人が、自分が仕事上である程度の成功を収めるまでは、不安定な状態にあると思っている。さらに、大都市での生活コストは非常に高く、生活上のストレスと仕事上のストレスというダブルストレスにさらされた彼らは、『家庭を構える』ための十分な力を備えていないと感じているため、結婚を意図的に避けるような心理状態に陥っている」と分析した。
○プライドが高く、結婚相手に求める条件も高い
結婚相手に対する条件が厳しいのも、海外帰国組の未婚率が上昇する原因のひとつとなっている。王氏はこれについて、「海外帰国組は、広い視野や豊かな経験を持つ人が多く、結婚相手には、自分と同等の能力を備えた人が望ましいという心理的ニーズを潜在的に持つようになる」と指摘した。
これに対し、北京心方向心霊成長工作室のシニア心理カウンセラーを務める李婧氏は、「心理学的に解釈すれば、海外帰国組の主な問題は、自己価値観が高すぎることにある」と分析する。また、「結婚相手を探す時に、このようなプライドを持ち続け、さらには相手を見下すような態度を取れば、当然ながら2人の関係がうまく行くことはない」と指摘した。
○海外帰国組の伴侶探し、メディアが新ルートを開拓
現在、婚活サイトやお見合い番組などの各種メディアを利用して、生涯の伴侶を得ようとする人がますます増えている。王国偉氏が創設した「イ火伴網」でも、海外帰国組のための様々なお見合いイベントを企画・開催している。たとえば、9月13日と14日にはそれぞれ、独身者お見合いパーティと北京郊外マイカー旅行イベントが開催された。
これらのお見合いパーティを組織することについて、王氏は、「このようなオフラインの活動は、モデルを呈示するという役割がある。というのも、オンラインプラットフォーム上のイベントだけでは、参加人数が少なく、参加者が互いに十分に相手を知ることができず、カップル成立率はどうしても低くなる。我々は、このようなお見合いイベントをきっかけとして、より多くの海外帰国組がオンライン交流にも参加し、ネット上で知り合いを増やす、友達から紹介してもらう、などの形で結婚相手を探すことを期待している。従来のやり方に加え、このような方法で新しいルートが開拓されると、カップル成立率はさらに高まるだろう」とコメントした。
○海外帰国組はもっと精神的に自分を解放すべき
李さんは、自分もその一人として、「海外帰国組は精神的に自分をもっと解放し、自分をありのままに正しく捉え、位置づけるべきだ。また、より開放的な立場を保ちつつ、寛容的な態度で自分も他人も受け入れる必要がある。このような態度を心掛けることで、恋愛・結婚問題について、より気軽にかつ自由自在に対処できるようになるだろう」と提案している。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年10月18日
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