○「80後」代表・帥さんの「残業拒否」
「80後」の若者・帥さんは、有名大学を卒業後、グローバル500強企業でのインターンシップをスタートさせた。最初の1カ月は研修期間で、彼は毎日、真面目に講義に耳を傾けた。入社してすぐに新入社員が覚えなければならないことは山ほどあるため、会社は、毎日7時から8時半までを新入社員自習タイムとした。このため、研修内容の復習に時間が取られ、夕食も遅れることは当たり前のことだった。
インターンシップ期間中のある日も、社長は新入社員に残業を命じた。帥さんは、残業をしないという選択もあるかと社長に直接尋ねた。社長が質問した理由を聞き返すと、彼は、「今日習得すべき内容は、全てやり終えたから」 と答えた。インターンシップを終え、彼の正式採用は見送られた。「残業は、健康を損なわず、充実したライフスタイルを送る上でプラスにはならない。残業をするかしないかが、その社員が仕事に打ち込んでいるかどうかの評価指標とは成り得ない。それは不健全な評価方法だ」と考えている帥さんは、公務員採用試験を受験することに決めた。公務員なら、毎日午前9時に出勤し、就業中はみっちり働いて午後5時に仕事を終え、「90後」や「70後」の仲間と一緒に、テーブルゲーム・ビリヤード・バー・カラオケなどを楽しみ、毎月給料を遣い果たす「月光」生活を送ることができる。
【コメント】「70後」と「90後」に挟まれた「80後」が受ける競争社会のプレッシャーは最も過酷といえよう。自分達の前には常に「70後」という模範がいて、後ろからは「90後」の新人が追いかけて来るため、80後は息をつく暇も無いほど追い込まれる。「80後」は、「頑張って仕事をする一方、どうやってプライベート生活を確保するか」に頭をひねり、自分の生活が仕事によって独占されることを断じて拒否している。「80後」は、ライフ・ワーク・バランスを最も重視する世代と言えるだろう。「80後」はすでに働き盛りの年代に差し掛かり、次第に各職場で責任のある職に就くようになり、理性的に物事を判断し、感情が激することもなくなっている。
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