29日付の米華字紙「僑報」は、「文化による文明保護 中国人の苦悩」と題する評論を掲載した。未成年の中国人観光客が、エジプトに観光に来て、神殿の壁に「誰それ(本人の名前)が遊びに来たよ」と落書きしたことがネットで暴露され、「まさに恥知らずだ!外国に行ってまで恥をさらして!」と多くの非難を浴びている。その後、某メディアは、「国家観光局が2006年に発表した海外旅行指針によると、『観光地を見学する際には、規則を守ること』が観光客に求められている」と報じた。中国人観光客のマナーの悪さが再び、世界の人々の前にさらされることとなった。環球網が伝えた。
世界観光機関(UNWTO)の統計データによると、海外を訪れる中国人観光客は、2000年は1千万人だったが、2012年には8300万人にまで増え、消費額も同年、米国を抜いて世界トップに立った。世界各地を訪れる中国人観光客が増えるにつれ、世界中に人々が抱く彼らに対するイメージの問題は、良識ある中国人の神経を逆なでしていると言わざるを得ない。このような状況から、「文明的とは言えない行為が国民のイメージを損なう」という悲痛な叫びや、「文明的素質を高め、良きイメージを確立しよう」という呼びかけが随所で盛りあがっている。
実際、中国国内の遺跡には、「○○ここに参上」という落書きが至る所に見られ、そのような恥ずべき行為は大きな非難を浴びている。しかし、はるばるエジプトまでやってきて神殿の壁に落書きしたことに、世界中が仰天した。しかし、海外の遺跡を傷つけたという事実が発覚し、それについて世論があれこれ非難しても、マナーに違反した行為が繰り返されることを阻止することは不可能だ。海外を訪れる中国人観光客は、大声で騒ぎ、所構わず痰を吐きゴミを捨て、文化財に落書きするなどマナーに違反した行為を現在も行っている。政府が制定したマナー遵守を呼びかけた指針は、効果があったとはいえない。最近発表された旅行法で海外を訪れる観光客に対して呼びかけている「マナーをわきまえた旅行」も、形だけのものに過ぎない。
つまるところ、中国人観光客に賭けているのは、文化・文明に対する畏敬の心だ。外に出て見聞を広めることであれ、世界に対する理解を深めることであれ、その目的は、風景・文化への信条や畏敬を伝え、価値観を伝えることにある。しかし、海外に出る中国人が目指すものは、「心身の享楽」だけで、「価値の伝達」は彼らの視野にない。
従って、世論の批判、政府の指針、政府による立法化は、マナーに欠ける行為を改善する上で限度がある。長期的なスパンでの教化・俗化を頼みとし、中国人の文化に対する考え方を再構築することによってのみ、「良きイメージの確立」が本当の意味で実現する。この作業が、一世代の人々だけで完結することはあり得ない。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年5月30日
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