アメリカン・パブリックラジオ傘下のラジオ番組「マーケットプレース」の公式サイトは27日、「汚染から逃れ、都市生活を捨てる中国の都市難民」と題する文章を掲載した。賈麗明(音訳)さん(女性)は、北京の某有名大学を卒業後、国家体育総局の公務員になった。この仕事は、「高給・充実した福利厚生・楽な業務」と3拍子揃っている。経済が急成長を遂げている首都・北京で、まさに理想的な仕事といえるだろう。環球時報が伝えた。
しかし、この生活は、賈さんにとって決して理想的なものではなかった。「大都市での生活に自分自身を見失い、生きがいを見出せなかった」ときっぱりと語る。「すべてが味気なさ過ぎた。仕事は単調で、毎日が同じことの繰り返し。身の回りの全てにやる気をそがれた」。彼女は、この理想的な仕事を辞め、北京から西に2千マイル(約3220キロ)離れた地方に移り住んだ。
今、山間にある冷たい湖で泳ぐガチョウやアヒルの鳴き声が、賈さんの目覚まし代わりになっている。朝食後、ヒマラヤ山麓の小さな山道を30分歩いて仕事に行く。彼女はチベットで小さなホテルを経営している。
賈さんは、北京の友人達ほど稼ぐことはできないが、とても心穏やかな日々を過ごしているという。「学生時代の友人のほとんどが、今でも、北京で必死になって働いている。でも、北京での生活の質は、決して良いとは言えない。彼らは、大枚をはたいて『別の場所』に行って休暇を過ごしている。『別の場所』に行って、ようやく幸せを感じることができる。一方、私はというと、彼らが出かける『別の場所』で、毎日生活している」
都市に移り住む中国人は、今も増える一方で、彼らは「都市化プロセス」の構成要素となっている。アジア問題に詳しい西オーストラリア大学のGary Sigley教授は、この現象に関する研究を行っている。教授は、都市化が一部の人々の気持ちを変化させていると指摘した。「街で異国情緒満点の観光地の旅行広告を目にすると、人々は、今住んでいるところよりも良い場所はいくらでもあるのだ、という気持ちが湧きおこる」。
中国で、「脱・都市生活」は、ちょっとしたブームになりつつある。「普通の道」を歩まない一部の人達が、有名人になっている。ある夫婦が先日、「北京での仕事を辞め、山里に引っ越します」と自身のブログで宣言した。この投稿は数万回転送され、政府系メディアまでもが取り上げた。この夫婦は、「私たちにとって必要なものは、新鮮な空気と安全で自然な食べものだけ」と書いている。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年3月29日 |