自信

1月31日、ドリブルで攻め込むニックスのジェレミー・リン(左)(新華社/AFP)
リンはスポーツ一家出身ではない。両親の身長はどちらも168センチで、リンは高校1年の時160センチしかなかった。
「160センチしかない時も、ジェレミーはバスケットボール三昧の生活をしていた」。リンの高校時代のコーチは言う。「それだけではなく、自分に対してとても自信を持っていた」。
NCAAへの入学を申請した当時、リンは北カリフォルニア州の年間最優秀選手で、高校チームを32勝1敗という成績に導いたが、大多数の米国大学コーチは依然東洋人にバスケットボールはできないと思っていた。リンが申請した大学のほとんどすべてがリンにスポーツ奨学金を出そうとしなかった。
リンの父親によると、リンはこうした状況を最初はあまり受け入れられなかったが、テクニックでライバルを圧倒するにつれ、また度量も大きくなっていたこともあり、こうした差別やあざけりに対して「こういうことが起こることは予想していた。でももう慣れっこだったし、なるべきようになると思っていた」と、意に介さなくなっていったという。
実際、リン自身もNBAで成功したアジア系選手がほとんどいないことは分かっていたが、いつかは奇跡を成し遂げる人が出てくると信じていた。「もしかしたら自分が常識を打ち破れるかもしれない。アジア系選手は全体として尊重されてこなかったけれど、スポーツでも、バスケットボールでも、ほかの分野でも、アジア系の人々は認めてもらえるだけのことはしていると思っていた」。
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