中秋節が近づいている。例年の慣例で、多くの企業が、福利厚生の一環として、月餅現物や月餅購入券を従業員に支給することを計画している。会社から支給される月餅は、誰もが大歓迎だ。しかし、もしこの月餅が所得と見なされ、個人所得税の徴収対象となると聞けば、出した手を思わず引っ込めてしまうのではないだろうか?
北京市地税局職員は「個人所得税法実施条例」にもとづき、企業が中秋節に支給する月餅は、課税対象と見なされ、月餅の市場販売価格が従業員の所得に組み入れられ、所得基準に依る個人所得税が課されるべきとの見方を示した。
これは理に叶ったものと言えるのだろうか?あれこれの名目で、我々はずっと税を納めさせられてきたが、事の真相を知らないままでも良いのか?現状を見た限り、「月餅税」の徴収実施については、どうやら信憑性はなさそうだ。
▽市民「月餅税?何それ?」
「会社が従業員に支給する月餅が所得と見なされ、個人所得税の課税対象になる」の論拠となる法律は、「中華人民共和国個人所得税法実施条例」だ。同条例では「個人所得税の課税対象となる所得には、現金、現物、有価証券などが含まれる」と規定されている。担当者はこの規定と照らし合わせ、「月餅は現物に属する」と判断している。
街頭で無作為に尋ねた市民20人のうち多くの人の「月餅税」に対する第一反応は「首を横に振る」ことだった。「普段は所得の中身にそれほど注意を払っていません。まさか、月餅まで所得税の対象になるなんて、信じられません。さっそく確認してみます」「月餅税?それ何?これまで聞いたこともないわ」などと否定的な答えが返ってきた。
▽専門家「月餅税徴収は、労使関係を損ねる」
浙江工商大学社会学部の馬良教授は「中秋節は中国の伝統的祝日だ。従業員との感情的な結びつきを強めるため、各企業は毎年月餅を配っている。数百元の月餅代が従業員の所得として計上され、所得税が徴収されるとなると、従業員は感情的には受け入れられないだろう。税務部門は、たとえば2千元(約2万4千円)を上回った場合には自己申告を求めるなど、現物による福利厚生の上限を設けるべきだ」と話す。特に、福利厚生と称してむやみやたらに現物を支給する企業に対して、税務部門は、監督管理をいかに強化するかについて、十分に検討を重ねるべきだと強調した。(編集KM)
「人民網日本語版」2011年8月29日
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