人口データが謬論を暴く
いかなる現場調査も行わなかった高田教授とトヒティ氏が打ち出した仮想のデータは、決して推敲に堪えられるものではない。ちょっと調べれば、基本的事実にまったくかなっていないことは分かる。
第4回国勢調査のデータによると、新疆の1989~1990年の死亡率は5.77‰で、全国の6.28‰より低い。新疆と全国のこの指標は2006年にそれぞれ5.03‰、6.81‰となった。国務院新聞弁公室が2009年に公表した白書「新疆の発展と進歩」によれば、新疆の死亡率は2008年に4.88‰まで下がっている。
ウイグル族の死亡率も全国平均を下回る。1999年11月1日~2000年10月31日の全国ウイグル族の死亡率は6.2‰で、同期の全国の死亡率は6.45‰だった。
「新疆年鑑」と「巴音郭楞(バオングオロン)統計年鑑」によれば、核実験基地があるバオングオロン蒙古自治州の1995~2000年の死亡率は5‰以下である。2005年の新疆の1%の人口を対象としたサンプル調査では、同自治州の死亡率は4.08‰まで下がった。
実際、新中国建国後の医療の改善と生活水準の向上から、核実験(地下核実験も含む)を行った1964~1996年は、ちょうどウイグル族の死亡率が大幅に下がった時期だった。総じて見れば、ウイグル族の人口出生率は全国平均よりかなり高く、死亡率は全国平均より低い。そのため、ウイグル族の人口増加率のスピードは全国平均よりもかなり高い。1964~1982年の全国の人口増加率は45%で、ウイグル族は49%、1982~2000年は全国が25.6%、ウイグル族は40.8%だった。
核実験場の所在地であるバオングオロン蒙古自治州では、長年にわたり漢族の人口が半数を超えている。2001年の同自治州の人口は106万を数え、そのうち漢族は61万で、ウイグル族は34万に過ぎない。仮に高田教授が言うように、10数万人が急速に死亡し、100万人余りが徐々に死亡したとすれば、上述したような低い死亡率、高い自然増加率になることはまったくあり得ないだろう。
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