邱天易
「産経新聞」は今年4月、日本の札幌医科大学の高田純教授の「中国が新疆ウイグル自治区で実施した核実験による被害で19万人が急死し、被害者は129万人に達する」と報じた。この憶測に対し、中国の放射医学研究の専門家、新疆ウイグル自治区疾病予防抑制センター放射衛生科の張聚敬主任は「これはまったく根拠のない杜撰そのものである」と指摘した。
張氏は1980年代、主任医師として、新疆の核実験場周辺の住民居住区を対象に放射性レベルと住民の健康状況についての専門調査に参与したことがある。調査結果から、ロブノール無人区で実施した核実験は周辺地区の広範な住民の健康に悪影響を及ぼしていないことが判明した。
高田教授のこのような突飛な説は多くのネット利用者の間に疑義を呼んだ。ペンネーム「アマリリス」という利用者は、「『推測』だけではどんな結論も出せるものではない」としたうえで、自分の推測に基づき「この行為は人道上から言えば、前例のないほど悪劣であり、さらに許せるものではない」とコメントしている。
推測と回想による「科学研究」
産経同月付記事によると、高田教授はここ数年来、中国の核実験に伴う影響の調査に尽力してきた。その推測によると、楼蘭遺跡の近くで実施されたメガトン級の3回の核爆発で核のちりが大量に発生し、空中拡散によって周辺に居住するウイグル19万人が死亡。百万人が放射汚染でがんなどの疾病を患い、または新生児に奇形などの遺伝病が見られるようになった。
この作られた「研究成果」は米科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」7月号に引用された際、ウイグル人医師のアニワル・トヒティ氏の「回想」も追加された。「1973年の夏、3日連続して太陽も月も見えず、空から大量のちりと土が降ってくるのを見るだけだった。長年たって、私は目にしたものが核実験の輻射によるちりだと知った」。トヒティ氏と高田教授は「ロブノール・プロジェクト」と名づけた共同研究を進めた。その「研究方法」は、旧ソ連の核実験のデータをもとに、核爆発の当量、風速と放射性ちりに関するモデルを作り、そのモデルを基礎に、新疆の人口密度によって輻射を受ける人口数を計算するというものだ。
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