Imprimer cet article

Commenter cet article

その他  
海外逃亡の汚職官僚の逮捕を強化

余振東被告の送還と「国連腐敗防止条約」の署名に次いで、全人代常務委は今年4月29日、「中華人民共和国とスペインの犯人引き渡し条約」を締結することを決定した。条約では、両国には規定に基づき、相手国の請求に応じて、一方の国内で発見された相手国が指名手配した犯罪人を互いに引き渡す義務がある、と規定されている。

中国が欧米先進国と引き渡し条約を結んだのは、これで初めて。この条約の締結で、逃亡した汚職官僚の引き渡しが加速されるとみられる。1993年以来、中国はベトナム、ベラルーシ、ラオス、南アフリカなど21の発展途上国と引き渡し条約を締結した。

スペインとの引き渡し条約では死刑の問題について――「請求国の法律に基づき、請求された引き渡し人が引き渡しの請求に伴なう犯罪を理由に死刑判決を言い渡される可能性のある場合、請求国が死刑を言い渡さない、または死刑を言い渡しても死刑は執行しないと被請求国に認められ得る十分な保証をしなければ、被請求国は引き渡しを拒否しなければならない」と条項が初めて盛り込まれた。

外交部の武大偉副部長は「スペインは欧州連盟(EU)の中で影響力のある国であり、引き渡し条約の締結は逃亡犯罪者を追跡し逮捕する法的根拠となり、犯罪者を威圧することもできる」と指摘している。

条約締結交渉に臨んだ代表団団長で外交部条約法律司の徐宏参事官は「外国と刑事司法の面で協力を展開して以来、逃亡犯罪者、とくに汚職官僚の追跡と逮捕を重点としてきた。欧米諸国を逃亡先にするケースが多いが、これまではこれらの国との間では引き渡し条約はなかった。多くの国では憲法に死刑禁止の条章があるため、死刑犯は引き渡さないとの条項を加えるのがこれらの国の慣行であり、これを条約締結の条件としている。スペインもそれが条約の核心的な内容と指摘した」と説明する。

「中華人民共和国刑法」には死刑に処すための68の罪名が依然として残っており、その大半は経済犯罪関連の罪名だ。欧米先進諸国ではほとんど死刑を廃止しており、国内法にも                                             「死刑犯と政治犯は引き渡さない」との規定がある。この規定は次第に国際司法協力の準則の一つになりつつある。そのため、余振東被告や頼昌星容疑者の事件に関しては、中国政府は、先進諸国の法律との間で双方が受け入れられる解決策を見出すことに腐心した。

中国政府が「良性の約束」をしたとしても、余振東容疑者の送還は例外なものであり、中国は今日に至るまで米国やカナダ、オーストラリア、シンガポールなど汚職官僚の最も多い逃亡先である国とは引き渡し条約は締結していない。

2000年11月、「遠華事件」が発覚した後、全人代常務委は「中華人民共和国引き渡し法」を採択した。同法第50条は「良性の約束については、最高人民法院が決定をする」と規定している。量刑上の最終決定権を最高人民法院に授与することを明確にしたのである。この規定によって、先進諸国と引き渡し条約を締結し、逃亡犯罪者を追跡し逮捕するための門戸がさらに大きく開かれたと言っていいだろう。

今年の全人代会議と全国政治協商会議開催期間、公安部は「逃亡犯罪者追跡逮捕に関する費用」を初めて公表した。国内では1万元から最高で数百万元。余容疑者の事件では、中米は3年にわたって交渉を繰り返し、その間に取り調べや証拠取得に要した費用は計算するのも手間のかかるほど膨大な金額だ。今後もこうしたケースが増え続ければ、財政上の負担は重くなる。

こうしたことから、「国連腐敗防止条約」に署名するとともに、各国と引き渡し条約を締結し、他国の協力を得て逃亡犯罪者を逮捕することが、政府にとって現実的な選択肢となった。

「国連腐敗防止条約」の発効に向けて国内法を整備するため、立法機関は「反資金洗浄法」など一連の法律の改正に取り掛かった。「反資金洗浄法が完備されれば、引き渡しに関する認識は米国により近づくことになる」。さらに、中国社会科学院法学研究所の屈学武教授は「中国は米国のテロリストによる資金洗浄の取り締まりを支援する。その一方で、米国は中国の汚職・腐敗による資金洗浄の取り締まりを支援する。こうすれば、両国間の将来の引き渡し条約締結に向けた条件は整うだろう」と指摘する。

EU加盟25カ国はいずれも死刑を廃止しており、「死刑犯罪者は引き渡さない」との原則を堅持している。とはいえ、中国とスペインとの引き渡し条約の締結で、ドミノ倒しが起きるのではないかとも予見される。徐参事官は「この引き渡し条約は非常にプラスな意義を生み出すのではないかと信じている」と話している。

「北京週報日本語版」 

   前のページへ   1   2   3  

北京週報e刊一覧
トップ記事一覧
インフレは依然、経済最大の潜在的懸念
「タイガーマザー」論争、どんな母親が優れているのか?
中国、水利整備を加速
潘魯生氏 手工芸による民族文化の伝承
特 集 一覧へ
第7回アジア欧州首脳会議
成立50周年を迎える寧夏回族自治区
現代中国事情
中国の地方概況
· 北京市  天津市 上海市 重慶市
· 河北省  山西省 遼寧省 吉林省
· 黒竜江省 江蘇省 浙江省 安徽省
· 福建省  江西省 山東省 河南省
· 湖北省  湖南省 広東省 海南省
· 四川省  貴州省 雲南省 陝西省
· 甘粛省  青海省 台湾省
· 内蒙古自治区
· チベット自治区
· 広西チワン族自治区
· 新疆ウイグル自治区
· 寧夏回族自治区
· 澳門特別行政区
· 香港特別自治区