連邦裁のスポークスマンは新華社記者の取材に対し、「頼原告と弁護士は30日以内に再審査請求書とその他の重要関連書類を法廷に提出し、移民部および公訴側の弁護士もその後の30日以内反論文書を提出しなければならない。最終的には、裁判官と原告・被告の三者が公聴会の時間と場所を確定する。これは、頼原告の送還は少なくともさらに2カ月先となり、身柄もバンクーバーの家に軟禁されることを意味している」と答えた。
頼昌星容疑者の送還について、全国政治協商会議委員、国際刑事警察機構(ICPO)の朱恩涛名誉副総裁は、カナダ亡命は絶対あり得ないとし、「送還されるのは間違いない」と楽観的な姿勢を示している。
朱名誉副総裁によると、逃亡犯罪者の逮捕に積極的に対応するのが米国だ。両国の間に引き渡し条約がないにもかかわらず、中国が死刑判決を下さないと保証することで、米国は2001年11月に締結した「中米刑事司法協力協定」に基づき、2004年4月に中国銀行広東開平支店の支店長だった余振東容疑者を中国側の警察に引き渡した。余容疑者は公金8247万ドルを着服した疑いがあり、2001年に香港経由でカナダに逃げた後、米国に逃亡した。今年3月、余容疑者は広東省江門市中級人民法院の一審判決で、公金着服や公金流用などの罪で懲役12年、個人財産100万元没収の実刑判決を言い渡された。
「今年は余被告の一味だった許凡超容疑者と許国俊容疑者も送還されるだろう」と朱氏は言う。現在、二人は米国司法部に起訴されており、「判決後に送還手続きに入るだろう」と朱氏。ICPOで仕事をしてきた朱氏がマスコミから最も多く質問されるのは、いかに汚職官僚を国外から引き戻すかだ。中国が引き渡し条約を締結している国はまだ少ないため、逃亡犯の送還は難しい。しかし、中国はICPOに加盟しており、ICPOが逮捕状を出せば、181カ加盟国は逃亡犯罪者の逮捕に協力しなければならない。
中国は現在、浙江省建設庁の楊秀珠元副庁長の引き渡しを巡りオランダの警察と交渉中である。
「国連腐敗防止条約」を批准
「腐敗の防止に関する国際連合条約」(「国連腐敗防止条約」の略)は2003年12月、87の締約国の代表によって正式に調印された。
条約の中の資産の返還に関する一章は、発展途上国にとって重要となる内容だ。実際、この問題に関しては、長年にわたり先進諸国と発展途上国はまったく異なる主張を繰り返してきた。これによってすべての締約国が受け入れられる解決策が見出されたことになる。腐敗による不法所得はその国にとって大きな損失となる。今後はこの一章に基づき、犯罪者が逃亡した国が締約国であれば、不法所得の返還を求めることができるようになった。
条約を制定する過程で、特別委員会は各国の意見を幅広く聴取した。中国も積極的な姿勢で参与し、特別委員会への提言の中で――(1)各国の社会・経済・政治体制の違いを考慮して、すべての国は自国の国情と法体系に基づいて犯罪の予防・処罰の措置を講じなければならない。こうすれば、腐敗防止の効果を高めることができる(2)国際的に見て、腐敗防止が直面する主要な問題は、金を持って逃亡した犯罪者の引き渡しが難しいことだ(3)被害国が犯罪者の不法所得を取り戻すのが難しい。そのため、犯罪者が法の網を潜り抜けて国外で富裕な生活を送ることができる。その影響はマイナスであるばかりか、腐敗を奨励するようなものだ――との3点を強調した。中国の意見は国連腐敗防止条約に盛り込まれた。
同条約は2005年10月22日、立法機関の全人代常務委が審議した上に署名した。温家宝国務院総理は条約審議案の中で「この条約の批准は国際協力の展開、逃亡犯罪者の送還、不法に国外に持ち出された資産の返還、教育と制度と監視を重視する腐敗防止体制の整備にプラスとなる」強調した。
スペインと犯人引き渡し条約を締結
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