五、福島原発は、米国からの支援と支持を受けて建設・設計されたものだ。しかし、福島原発で問題が発生した時、米国から日本へのいわゆる「保護」には限度があることがわかった。米国が優先したのは自国の軍人と救助隊の命であり、彼らを放射能の脅威から遠ざけることだった。これは核問題における米国からの保護という神話から日本人を目覚めさせることとなった。
六、未曾有の災難により、日本の国力は衰退し、「中強日弱」の流れが加速するだろう。これは、中日関係が今後新たな時期に入ることを意味する。改革開放以来、日本は対中援助を通じて両国のウィンウィンの関係を築いてきたが、今後は中国が対日援助を通じてウィンウィンの関係を築くという形に転換する可能性がある。中米日の関係も、日米が軍事的に共同で中国に対峙するといった従来の構造から、比較的バランスの取れた三角関係に転換していく可能性がある。どのみち、中日両国は新たな時期の両国関係に向け、しっかりと準備する必要がある。
七、今回の災害により、アジアないしは世界各国の人々の間で一体感、連帯感が強まった。国際関係に深刻な影響を及ぼす可能性もあるが、少なくとも国家間の相互支援、相互支持、共により安全な世界を作るという「全世界人民の大団結」という精神が強まったことは確かだ。
八、地震、津波に伴う放射性物質漏えい事故により、中日などの東アジア国家・地域では、原発の安全に向けた協力を強化する必要性が強まった。中国大陸、韓国、台湾なども多くの原発を抱えている。特に中国大陸では、2009年までに沿海地域に6カ所の原発が完成しており、さらに10カ所が建設中となっている。しかも、中国も地震などの自然災害が多発する国だ。このため、日本の大地震からどれだけの教訓を学び、原発の安全問題にいかに対処していくかは、中日を含む東アジア国家・地域の共通の課題となっている。
九、日本の大地震は人類の活動とは直接的な因果関係のない大災害だったものの、自然の力の強大さが明らかとなった。この災害は、環境汚染・温暖化・砂漠化拡大・熱帯雨林の消滅など、人類の活動と因果関係のある大災害に対し、人類が一致団結して、共同で対処していかなければならないと人々に警鐘を鳴らしている。これらの災害は地震や津波のように突発的ではないが、静かに、慢性的に人類の住処を破壊しつつある。今回の災害は教育という役割も持っている。世界各国、特に環境をめぐり命運を共にする近隣国家間が、国家間の問題を解決する上で有益な示唆となった。(筆者:フォン昭奎、編集SN)
「人民網日本語版」2011年4月25日
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