大地震、津波及び放射性物質漏えい事故により、回復の軌道に乗りつつあった日本経済が大きな影響を受けただけでなく、中日貿易の発展も大打撃を受けた。日本の隣国であり、最大の貿易パートナーである中国と日本の貿易関係は、世界の貿易の中でも重要な位置を占めている。日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、自然災害・重大事故の影響をできるだけ早く脱するべく、中日間貿易を促進していきたいと表明した。「人民日報」海外版が伝えた。
▽中国の対日貿易、黒字に転じる可能性も
税関の統計によると昨年、中日の貿易総額は2977億7千万ドルだった。通年データによると、中日両国は互いに最大の輸入相手国となった。また、日本にとって中国は最大の貿易パートナー、最大の輸出相手国であり、中国にとって日本は第3の貿易パートナー、第3の輸出相手国だった。
今年第1四半期、中日両国の貿易総額は前年同期比27.1%増の807億7千万ドルに達した。しかし、税関関係者によると、地震による影響は徐々に顕著になりつつあるという。中国の対日貿易は、長年巨額の赤字を計上してきた。2002年から現在までに、対日貿易における中国の赤字総額は2000億ドルを突破している。昨年、中国から日本への輸出額は1210億6千万ドル、日本からの輸入額は1767億1千万ドルで、貿易赤字は556億5千万ドルに上った。専門家は、「日本からの食品・部品などの輸入が減少するに伴い、今年の中国対日貿易は黒字に転ずる可能性がある」と分析する。
3月の中国対外貿易データを見ると、主な貿易パートナーの中で対日貿易だけが、前年同期比の伸び幅が前2カ月と比べて低下した。これに対し専門家は、「中日貿易の前年同期比伸び幅は、今後3-4カ月にわたって低下するだろう。しかし伸び幅の低下はそれほど大きくないはずだ」との見方を示す。
商務部研究院中貿研究部の張莉副研究員は、「日本の大地震・原発事故による影響は軽視できない。まず、日本関連産業の在庫には限りがあり、期限どおり・数量どおりの製品輸出が保証できない。次に、製品のサプライチェーンが途絶えるのを防ぐため、中国国内の企業が日本からの輸出を避け、より安定した輸入相手国を探す可能性がある。しかし、安定した長期受注という保証があるため、影響を受けるのは短期受注が主だ。このため、中日貿易の伸び幅低下はそれほど大きくはならないだろう」と述べる。
▽中国国内の在庫、今のところ生産の保証が可能
商務部の姚堅報道官は定例記者会見で、「日本・東北地方のGDPが日本経済全体に占める割合は8%に達している。しかも東北地方には、電子、自動車、石油化学など、中日貿易において相当の規模を占める製品の生産拠点が集中している。このため、短期的には中日貿易に一定の影響が及ぶと見られる。集積回路、鋼材、自動車部品、自動車などの製品は、中国がこれまで日本から大量に輸入しており、中国の日本からの輸入量全体の22%を占めている。これらの製品に関する中日経済貿易活動は一定の影響を受けるだろう。中国には日系加工貿易企業が数多くある。これらの企業は特に天津、遼寧、山東などに多いが、日本からの原材料・部品輸入で影響を受けるだろう。上述の輸入製品は現在、中国国内に相当量の在庫があり、現在のところ正常な生産が保証できている。中国の日系企業も中国国内で代替品を生産できるメーカーを探し、生産を行っていくだろう。しかし、中日貿易の回復はやはり、日本経済の回復に頼るところが大きい。なぜなら、産業チェーンの主要部分は日本にあるからだ。日本経済がいち早く回復し、両国貿易ができるだけ早く正常な状態に戻ることを望む」と述べた。
▽日本からの輸入品、代替品で補うことが可能
データから見ると、中国にとって日本は最大の輸入相手国だが、国家発展開発委員会・対外経済研究所の張燕生所長は、「輸入は主に中国の内需が決定するものであり、多くの輸入品は代替品で補うことができる。このため、中国の輸入に対する震災の影響はそれほど大きくない」との見方を示す。
商務部研究院アジア?アフリカ研究部の徐長文主任は、「今回の災害は主に日本の東北地方が被災地となった。東北地方には自動車、電子部品、建材企業などの生産拠点があり、これらの製品を輸入する中国企業は影響を受けるだろう。しかし、これらの製品の生産企業の多くは、すでに中国またはその他の地域に生産を移転しており、中国における関連産業の生産にはそれほど大きな影響はない」と述べる。
このほか、中国が日本から輸入する商品の生産地を見ると、生産地は関東、中部、関西などの経済の中心地が主となっている。(編集SN)
「人民網日本語版」2011年4月22日
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