マグニチュード9.0の地震、30メートルの津波、チェルノブイリ級の放射能漏れ……人類史上空前の壮烈な三重の天災・人災が同時に日本を直撃した。被災から1カ月余りが経った今も、大規模な余震が毎日続き、福島原発への対応も解決の道筋が立たないままだ。こうした中、外国人観光客の足は日本から遠のき、日本の観光業界が悲鳴を上げている。
▽震災後1週間 24万人が日本を離れる
日本の法務省は15日、震災翌日の3月12日から今月8日まで、東日本大震災発生後の約1カ月間に、日本を出国した外国人は延べ約53万1千人と発表した。うち、震災後1週間以内の出国者は延べ24万4千人と、震災前1週間の延べ14万人を大きく上回った。
出国した外国人延べ53万1千人のうち、再入国手続を行ったのは延べ30万2千人。総数の57%を占め、通常の20%をはるかに上回った。日本を離れた多くの外国人は事態の推移を見つめ、落ち着いた後に、日本に戻る考えであることを示している。
出国者は在留資格別に、永住権取得者7万3千人、留学生7万人、家族4万3千人。国籍別では中国人が最多で18万5千人。韓国人10万7千人、米国人3万9千人が続いた。
一方、入国者はこの4週間で延べ30万2千人。震災前1週間は延べ15万7千人だった。震災後1週間の観光客数は激減したが、入国者数は延べ5万8千人に増えている。今月に入り、留学生と永住者の再入国が始まり、毎週10万人以上にまで回復した。入国者で最も多いのが中国人で8万6千人。韓国人が7万6千人と2位、米国人が2万8千人で3位。
▽再建への険しい道のり 観光業界は空前の打撃
観光庁の統計では、震災発生から今月12日までに、日本全国のホテル?旅館など宿泊施設の予約キャンセル総数は延べ56万人分に達した。3月の訪日外国人観光客総数は昨年同期比50.3%の大幅減となった。
「読売新聞」は17日、東日本大震災後、約8万人の外国人が宿泊キャンセルと訪日スケジュールの変更をしたと伝えた。桜が満開の季節の今でも、日本各地の名勝地で外国人観光客の姿はまばらだ。
東京浅草寺の仲見世商店街の売上高は平常の10分の1以下にまで落ち込み、これまで観光記念品を扱ってきた一部の専門店は、米や野菜などを売り経営を維持しているほどだ。東京都内を巡る大型観光バス、はとバスの1日平均の外国人観光客は5人にも満たないという。
日本三景のひとつである宮城県松島では、これまで毎年十数万人の外国人観光客が訪れていた。しかし同県は今回の地震と津波で甚大な被害を受け、外国人観光客の足は遠のいている。松島湾を一望できるホテル松島「大観荘」は被災から逃れたが、香港・台湾からのツアー宿泊予約は今年の秋まですべてキャンセルになった。
北海道登別温泉もこれまでに2万人が宿泊をキャンセルした。
しかし福島から最も遠い沖縄は影響を受けず、東日本大震災発生後から今月8日までの4週間で、スケジュールをキャンセルした外国人観光客は1万人にとどまった。
▽日本観光の再興 中国人観光客に期待
観光庁の溝畑宏長官は北京で10日、日本の観光業界を震災の痛手から立て直す上で、中国が重要な意義を持つ、と語った。
溝畑長官は、中国大陸部からの訪日観光客数は昨年延べ141万人、今年1-2月は延べ20万人を超えたが、大震災により大陸部観光客数が激減しているとし、「日本の観光業界は未曾有の危機に直面している」と訴えた。
溝畑長官はさらに、東日本大震災発生後、最初に訪問した国が中国であり、中国人観光客は日本の観光業界の振興に極めて大切だと述べ、「中国人観光客の方々の笑顔で日本国民が自信を取り戻せるよう励ましを下さい」とアピールした。(編集HT)
「人民網日本語版」2011年4月18日
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