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分析・評論  
誇張されるべきでない日本地震の影響

 

M9.0の大地震は、日本を未知・未確定の世界へと導いたかのようだ。これを機に、日本が再び「崩壊の十年」に突入するとの見方もあれば、「二度目の台頭」を迎えるとの見方もある。私は、これらの見方がともに根拠に欠けるものであり、地震が日本に与えた打撃は確かに大きいが、その日本や世界の勢力図への影響は誇張されるべきではないと考える。

地震が経済方面にもたらした影響の中には、大きな打撃と振興チャンスが共存していると言える。日本経済は、戦後の復興を遂げ、高度成長期の後、更なる拡張空間が限られ、ここ20年ほどは横ばい状態が続いており、なかなか新しい起爆剤を見つけられずにいた。今回の地震は、日本経済にとって短期的には大きな打撃となるが、長期的に見れば、就職率の増加や技術発展の推進などのチャンスとなり、被災地区の再建によりGDP成長率を促進させることができる。また、原発問題では様々な物議を醸したが、それは直接原子力発電の破滅を意味するのではなく、その技術や管理方面の更なる進歩につながっていくと考えられる。原子力発電は、人類の科学的進歩の産物であり、エネルギー資源の少ない日本が、たった一度の災害や事故で、それを止めてしまうはずがない。

また、政治方面では、国を挙げて対応すべき今回の地震が、日本の「強い政府」を生みだすきっかけを作った。単一民族の日本は、明治維新や第二次大戦の時もそうだったが、大きな困難に直面すると、往々にして強大な社会的動員力を生み出すことができる。しかし平和な時代においては、逆に「内部闘争」に陥り、目標を見失いやすい。そのため、日本の発展には、とりわけ強い政府が重要なのである。戦後の高度経済成長は、まさに完全なる政府主導のもとで実現したもので、そこから更に「アジアNIES」の発展をリードした。しかし、前世紀80年代以降、日本は「弱い政府」の苦境に陥った。政府は決断力に欠け、官僚システムは動きが鈍く、経済は停滞した。政治家はみなそれを知らないわけではないのだが、なぜかいつもそのために様々な代償を払うことになる。小泉氏は中日関係を犠牲にし、鳩山氏は米国からの脱却を図った。二人とも「政治的強者」になろうとしていたのだ。地震発生後、菅総理の支持率は大幅に上昇し、客観的に見れば、前任の二名ができなかったことをやってのけたと言える。しかし、民主党と自民党の目の前に置かれた「強い政府」作りのチャンスは、必ずしもそれが現実のものになるとは限らない。

国際関係から見て、日本はずっと現在の国際体系における重要なポストを占めており、その利益の根は深く、その他の大国と密接に関連している。そのため、地震発生後、G8加盟各国は迅速に日本に救いの手を差し伸べた。現在の体系においては、主導力である西方国家が日本の窮地を黙って見ているはずがない。しかし、他の面から見れば、今回の地震により、日本の外交は道義上穏やかになっているものの、それは決して他国とのトラブルや紛争を解決する時期が来ていることを意味するものではないのだ。

今回の地震により、日本の周辺諸国とのトラブルは一時的に棚上げになるが、利益主導の国際関係において、これらの基本的トラブルが一度の自然災害で完全に消失するわけがない。問題はこれからもずっとそこに存在し続け、一度の地震でそれらのトラブルに何らかの変化を期待することは現実的ではない。

社会再編にせよ、経済的チャンスにせよ、政治再編にせよ、日本には確かに20年以来の後退苦境脱出のチャンスが与えられたといえる。しかし、これで日本が「三度目の台頭」に突入すると断言するのは独断的過ぎる。日本の経済レベルが世界的に見てまだ上位にあることは間違いない。「台頭」とは、事実無根である。今回の地震は、日本に新たなチャンスをもたらしたが、日本は依然として国内に多くの困難を抱えている。回復や復興ができるというだけで既に楽観的予測であると言える。中日関係においては、日本に多くの支援の手を差し伸べることは、中国にとっても決して悪いことではない。

(文:シンガポール国立大学東アジア研究所 鄭永年所長)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年3月28日

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