▽被災地:大きな代償、再建には時間
米紙「ニューヨークタイムス」は災害から救出された75歳の人の話を引いて、再建が「遅すぎる」とした。地震と津波が発生する前、東北地方の経済・社会・生活は他地域に比べて目立って立ち後れ、若年層と大量の資本が南部地域に流れていた。壊滅的な自然災害の打撃と原発の放射能漏れを受けて生じた損失を計算することはできる。だが再建にかかる費用は巨額で、すでに人の住めなくなったこの土地に見合うものではないという。
地震に先立ち、東北地方の人々は原発と関連施設を生活維持の重要な手段であり生命線だと考えていた。今、これらの施設が破壊されて、小さな集落は没落した。福島原発がどうなるかはだれにもわからない。周辺地域には放射能が広がり、今後は無人地区になる可能性もあり、再建はいつのことになるかわからない。また津波で押し流された幾多の企業や家屋は、その大部分が退職者の所有するもので、再建に向かう気力と資金は十分でないといえる。政府は巨額の負債を抱えており、経済エリアの再建は一つの政権で成し遂げられる任務ではないとみられる。米国のある経済学者は、日本が災害後に真っ先に直面する問題は、東北の工業エリアを再建するかどうかということだ。米パデュー大学のダニエル・アルドリッチ教授(地域経済専門)は「かつて、日本の若年層が大量に郷里の農村を離れて仙台、東京、大阪で就職した。東北地方はすでに下り坂にあったが、このたびの地震後、多くの地域は深刻な被害を受けるか、廃墟になるかしており、再建に値するかどうかを真剣に考える必要がある」と話す。
東京大学社会科学研究所の高橋五月教授によると、津波の有無にかかわらず、東北地方はすでに競争力を失っており、漁業者は借金して船を買い、装備を積み込んで海で漁をし、それで得た収入は日々の生活を送るだけで精一杯のものだ。他国の政府と同様、日本政府も東北地方の経済発展を牽引しようと試みている。減税や年金の増額を通じて、出稼ぎ者を地域にとどめようとするなどだ。だが原発の放射能漏れ事故が発生して、こうした経済活性化措置はざるに水を入れるようなものになる可能性があるという。(編集KS)
「人民網日本語版」2011年3月21日 |