日本で起きた巨大地震は、産業界にも極めて大きな衝撃をもたらした。一番先にダメージを受けたのは、日本が世界に誇る自動車産業だった。トヨタ、ホンダ、日産の日本三大自動車メーカーは14日、地震の影響により全面的に生産を停止すると発表した。国際金融報が伝えた。
第二次世界大戦後の国内自動車メーカーの大躍進は、日本の高度成長期の神話となり、無数の国内外企業にとって見習うべき手本となった。しかし、天災人災は、そのような積み重ねを一瞬にしてたたきつぶす。今回の大震災は、100年近く築き上げられた日本自動車業発展に壊滅的なダメージをもたらし、その損失は空前絶後のものとなるだろう。
我々はしかし、大災難を前にしてため息をつき肩を落とすと同時に、さらにその先を見極める必要がある。日本の自動車メーカーは、主観・客観両方の「転ばぬ先の杖」でもって損失を最小限に食い止めた。これは、我々が見習うべきグローバル配置戦略の一つと言えよう。
中国自動車メーカーは、開放的で国際的な協力発展の道を歩み、スマートなグローバル配置戦略を講じなければならない。日本自動車メーカーのグローバル化指数が大変高いことは事実だ。
中国を例に挙げると、ほぼ全ての日本メーカーは中国に合弁企業あるいは直接輸入販売ルートを持っている。これにより、日本の工場が生産停止に追い込まれても、生産ゼロという事態には陥らない。少なくとも、各海外工場での利益がある。
ほとんどの日本自動車メーカーは、中国に物流センターや部品配送センターを設立しているため、当面の間は営業を続けることができる。日系自動車ディーラーが予約注文した製品は、中国の港湾に到着している。
また、日本のメーカーによる中国市場参入はかなり早く、10年間の在中発展を通じて、中国で生産する車種の国産化率は軒並み高くなった。例えば、ホンダグループの国産化率は80%?90%に上る。今のところ、生産停止に追い込まれた合資メーカーは皆無だ。
グローバル化生産配置が大変功を奏している。たとえば、ホンダ・アキュラシリーズは、主に北米工場で生産されているため、中国への輸入に影響が及ぶことは少ないと見られる。
ある日系合弁企業関係者が、「日本の自動車メーカーには、極めてユニークな特徴がある。それは、この10年間で国際化発展の道をほぼ完成させ、現地工場での生産が常態になったことだ」と述べていることは、極めて印象深い。この事実は、日本企業の「転ばぬ先の杖」という奥深い知恵を見事に示している。
しかし、日本自動車メーカーによる核心技術の絶対的掌握は、今回、最も大きな非難の的となった。ギヤボックスなど肝要部品について、多くの日本メーカーは手放そうとはせず、研究開発センターと核心部品生産工場は日本から動かさそうとはしない。それらを世界各地の合資・独資企業に輸出し、利益と技術は国内で循環させている。この状態こそ、日本メーカーに独占的な利益をもたらしてきた。しかし、大きな自然災害を前に、彼らは得た利益と同じほどの苦しみを味わうことになった。
ここまで見ると、日本の自動車メーカーは、開放する気持ちはあるものの、開放程度については、それほど大きくないことが分かる。今回の大震災はひとつの試練となった。
技術的な面でも、中国は教訓を得ることができた。つまり、生産基地を可能な限り分散するということだ。今回の震災で、主要工場が被害の激しかった地域に集中していたことから、トヨタが最大のダメージを受け、損害は一日7200万ドルに達している。これに対し、日産は、被害が小さかった国内工場で操業を再開しており、マツダに至っては、組立工場は震災地になかったので、生産は全くストップしていない。
以上から見て、吉利や奇瑞などの中国自動車メーカーが国内各地に工場を設けていることは、理にかなった戦略といえるだろう。(編集KM)
「人民網日本語版」2011年3月18日
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