◇中国では考えられない男女差別◇
中国地方の大学に留学して、外資系の企業で実習したZさん(女性)は、社員の真面目な仕事ぶりや、生き生きと働いている姿、仕事に対する責任感と情熱に感動した。しかし、社員食堂に入って驚いた。担当者だった男性社員の人から「Zさんは、女性同士のほうが話しやすいだろうから、○○さん(女性)と食事をしてください」と言われた。食堂では女性と男性がはっきりとグループに分かれて、別々に食事をしていた。しかも、話を聞いてみると、会社内では女性にお茶くみをさせるとか、異性と話をするときはとても気を遣うなど、中国では考えられない男女差別が随分とあるのにZさんはびっくりした。
◇豊富な専修項目、少ない食堂のメニュー◇
関西地方の大学に留学したLさん(男性)は、大学の先生や周囲の学生が関西弁で話しているのに戸惑った。共通語の日本語は問題ないが、関西弁は微妙なところで聞き取れなかったり、意味が分からないところがあった。こちらから共通語で話しても答えは関西弁だった。しかも、関西の人はどこに行っても関西弁で話すことを知った。東京に行っても堂々と関西弁で話しているのに驚いたが、とても感心した。方言を話すことは故郷の贈りものであり、少しも恥ずかしいことではないことを教えられた。
大学では文学部の中に20種類以上も専修項目があり、授業の内容も小人数制のゼミナール形式で専門的に行われることに感心した。中国の大学では、先生が話をしてそれを学生が聞いて理解する、という一方的な授業形態が多い。日本では、演習を通じて指導の先生が学生同士の意見を聞きながら研究を進め、学生の自主研究を重視している。中国では演習授業ということはなかったので、最初はなれなかったが、何回か続けているうちに先生や先輩の学生から、有益な知識や勉強方法をたくさん学ぶことができた。
授業がこれだけ豊富にあるのに、食堂のメニューはフライものや洋食が中心で1週間も食べたらもう飽きてしまった。日本料理はもっと種類がたくさんあると思っていたので、これには驚くよりがっかりさせられた。
◇時刻の厳守やごみ箱のないことも◇
このほか、日本での留学生活で、約束した時刻をきっちり守り、5分前には必ずその場所にきていること、ラーメン屋さんの前で何時間も並んで待っていることなど、中国人にはなかなかできないことだと驚いていた。
空港について周囲を見回しても、ごみ箱が一つもないこと。大学の寮生活では、集団生活を守るために不便だと感じても、ルールを守り続けること。九州の福岡は、空も海も非常に澄みわたり、空気も綺麗で到着してすぐにこの都市に“一目ぼれ”して好きになったこと。1年間の留学生活は短かったけれども、どの学生にとっても、記憶には長く残る有意義なものだったようだ。
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