満開となった桜の木の下で純白衣装に身を包み結婚記念の写真を撮る新郎、新婦
南京市の「南京中山植物園」は、今年も今が花盛りを迎え、週末や祭日は多くの人で賑わっている。清明節3連休は家族連れや、若い男女のカップル、互いにいたわり合いながらそぞろ歩き花見をする年配の夫婦など、さまざまな人模様。純白のスーツにウェディングドレスの新郎、新婦が満開となった桜の花を背景に記念写真を撮る姿も、人は変われども花々は変わらず、毎年季節になると人々に微笑みかける。
同植物園は南京市東にある紫金山の麓に、孫中山を記念して1929年に中国の国立植物園として建てられた。1954年から現在の名称となっている。面積186万平方メートル、国内外3000種類余りの植物を収集、栽培している。
園内では今、桜や木蓮、海棠、星花木蘭(シデコブシ)、黄瑞香(ミツマタ)などの樹木の花に負けじと、丈が50センチほどの野辺の花・二月蘭(紫金草)も、いたるところの路地で薄紫色の美を振りまき存在を主張している。
紫金山を遠望する麓の広場では、桜の開花でほのかに明るくなった「花明かり」の下で、夫婦らしきお年寄りが笑い声をあげながらバトミントンに興じる。傍らでは、シートを広げて座った家族が二人をじっと見ている。「年年歳歳花相似たり」の詩情そのものの春のひととき。穏やかで心豊かなこの市民生活が、来年も、そのまた来年も続く事を、花々は「歳歳年年」見続けるだろう。
(南京大学日本語学部専家・斎藤文男=写真も)
「北京週報日本語版」2011年4月7日
天まで伸びようとするように成長する木蓮の花々
ハナカイドウ、ナンキンカイドウなどとも呼ばれるバラ科の海棠はまだ蕾が多かった
「星花木蘭」と名札にあった。花弁がしめ縄などに使われる四手(しで)に似ているので和名は「シデコブシ」
中国語名は「黄瑞香」という優雅な名称だが、和名は枝が三つに分かれるので、「ミツマタ」とそっけない。日本の紙幣の原料になっている
「ふるさとの山に向かいていうことなし ふるさとの山はありがたきかな」啄木の歌を思い出させる稜線がなだらかな紫金山の遠望
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