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斎藤文男氏のブログ  
◇まほらまの南京生活⑫◇~桜の木の下で~

 

◇映画の中の桜吹雪に感動◇

かにかくに桜の花は懐かしく、恋しく、麗しく思うのだが、中国の学生はどのように感じているのだろうか。数年前、写作の授業で「桜」を出題した作文を読み返してみた。

クラスの中で桜の花の現物を見た人はほとんどいなかった。4年生になってから学ぶ鼓楼校舎や南京市の梅花山には桜の木があるが、1年生から3年生が学ぶ浦口校舎周辺にはなかったからだ。しかし、日本映画「四月物語」(岩井俊二監督、1998年)で観た桜吹雪の場面は強く印象に残ったようだ。

「四月の日本で、どうして雪が降っているのだろうと思ったが、それは桜だった。この時、桜吹雪という言葉を知って驚いた。桜の花のように人の心を打った恋物語。美しい季節。美しい桜。」と感嘆した文章を綴っていた。「最も綺麗な時、ぱっと散ってしまう。雪のように降って、短い花盛りが終わる。普通の花と全然違う。桜は瞬間美だ。前途に死があるかどうか、全然考えない桜の花のような人生と、平凡で順序を追って事を運ぶ人生は、どちらがいいか言えないが、桜のような人生は素晴らしいと思う。」女子学生の文章だが、瞬間でも情熱的な人生に憧れて、桜の美しさに魅力を感じたのだろう。

◇日本人の“道”に殉じる精神◇

「小学校1年生の時に住んでいた自宅の近くに、大きな桜の木があった。毎年美しい花が咲き、木の下で遊んだり、花見をして楽しい少女時代を過ごした。」

中学校に入り転居した。春になって前に住んでいた家に行った時、桜の花が満開だった。「柔らかな花びらが風に舞い降りた。ひきこまれるような美しさだった。突然、激しい風が吹いてきた。花びらは吹雪のようにすっかり落ちてしまった。満開だった花はあっという間に全部地面に散った。私はこの光景をみて、言葉も出ないほどびっくりした。あっさりした花だなあ、と私は感嘆した。」

この花を見て、「日本人が桜の花を好きになる理由が分かるような気がした。」という。「桜が咲くときには、何よりも艶やかに盛んになる。散るときには、名残もせず、後悔もせず一斉に散る。生も光栄であれば、死も光栄であるともいえよう。日本人の道に殉じる精神も桜の花に見られるだろう。」生も死も光栄であるとする日本人の心を指摘した彼女は、卒業後、「日本の大学院に入学しました」という連絡があったあとは、音信が途絶えている。勉学に忙しいのだろうが、日本の桜の美しさをどこかで堪能したことと思う。

◇少数民族の悲恋物語の中にある桜◇

「中国で桜についての伝説もあります。」と悲恋物語を作文にした学生もいた。雲南省に多くが住む少数民族イ(彛)族の中に桜誕生の悲話があるという。

「雲南省の山奥に白い花が一面に咲いていました。ミールという美しい娘がその花園で歌っていると、若い男が恋をしました。しかし、その地を支配する首領がミールの美貌を聞き、結婚を迫りました。強引に連れ去られる途中、ミールは白い花園に散っていた花びらを拾って髪にさしました。」

「婚礼の式で覚悟を決めたミールは花びらを浮かべた酒を首領に勧め、自らも飲んで自殺しました。若い男はミールの遺体を抱き、思い出の白い花が咲く森に入りました。若者の涙は悲しさで血となり、白い花を朱に染め、“桜”が生まれました。」

「ミール」は「桜」という漢字のイ族の発音で、潔さや花の美しさが日本の桜と共通している、とこの学生は綴っていた。

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