◇“花明り”で女子学生が読書◇
大学構内の金陵大学旧跡小礼堂鐘亭脇にある一本の桜の木の周辺は、そこだけが明るく照らされたように“花明り”となっていた。その桜の木の下で、女子学生が一人、直立姿勢で黙々と活字を追っていた。外国語の暗記でもしていたのだろうか、あるいは小説のストーリーに感動したのか、時折、花曇りの空を見上げて嘆息して何事かを小さな声で呟いていた。まるで映画の一場面を思い起こさせるようなシーンだった。
1本の桜があれば、母子の散歩の楽しさも倍になる
南京市中山植物園内に点在する桜が開花すると、訪れる人も花を求めて急に多くなる。園内の池のほとりにぽつんと1本の桜の木があった。樹齢は10年足らずの若木だが、それなりに満開となっていた。小学校低学年らしい子供2人と一緒に来ていた母子は、足取りも軽やかに散歩していた。子供たちは時折スキップしたり、花を摘んだり実に楽しそうだった。
◇純白衣装で結婚記念写真◇
数本がまとまってある満開の桜の木の下では、何組もの新婚カップルが次々に記念写真を撮っていた。新婦は純白のウェディングドレス、新郎も上下を白のスーツできめ、カメラマンの注文に応じてポーズをとる。頬を近寄せて二人で頭上の桜を見上げたり、新郎の肩に新婦が頭をもたらせてにっこりと笑顔をつくる。新婦が一人で桜の木に寄りかかってポーズを取ると、改めて新婦の美貌に感動したように、新郎が小型のデジカメを取りだして、妻と桜の“競演”をカメラにおさめていた。桜の花も新しい二人の船出を祝福するように目一杯装っていた。
満開の桜の花の下では、花嫁さんの美しさもいっそう映える
この植物園にある桜の木の下では、毎年、桜の開花時季に合わせて、結婚記念の写真を撮る人たちが増えている。中国の若い人たちの間で、桜の花をバックに人生の門出を記念する人が多くなれば、桜の花とともに日本への理解も深まるのではないかと思った。
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