◇中国の新車販売、生産が世界一に◇
中国では今、全国いたるところで常に事故直前の危険状態にあるようなものだ。このような中で、中国自動車工業協会によると、2009年の新車販売台数は1364万台(前年比46%増)、生産台数も1379万台(同48%増)でともに世界一位になった。日米欧では自動車の売れ行きが頭打ちとなり、世界中から中国市場が狙われている。加えて中国国内のメーカーも、今年の生産、販売目標は大幅な増加を見込み、前年比で150%とするところもあり、強気の姿勢を示している。
このまま増加を続ければ、中国の新車の販売は5年後には1500万台、10年後には今の2倍になる2000万台になるとみられている。
2005年現在で、自動車保有台数が1000万台を超えている国は、世界で16カ国ある。トップは米国の2憶4100万台。2位は日本の7800万台、3位ドイツの4900万台となっている。以下はイタリア、フランス、イギリスと続き、中国は7位で3000万台である。
2000年から2005年まで自動車の年平均増加率は、米国1.7%、日本、ドイツが0.8%、イタリア、フランス、イギリスは1.4%~1.9%の伸びである。これに対して、中国は21.2%、インド17.8%と世界の中でも飛び抜けて急激に車が増加している。中国は世界の先進国に比べて20倍近くのスピードで車が増えている。
◇高速道路で“サーキットレース”◇
高速道路では車が100㌔前後の速度で走行している。道路に白線が引かれ、車線は分けられている。しかし、車はこの車線をほとんど無視して走っている。追い越し、追い抜きした車が、また、追い越され、追い抜きされる。まるで高速道路でサーキットをやっているような感じである。タクシーや大型バス、トラックなどすべての車が同じように、先を争って先頭に出ようとする。このような中で、免許をとったばかりのようなマイカーが、のろのろ走っている。
◇中国の交通死者は日本の15倍◇
車が増えれば交通事故と死者が増える危険度は高くなる。中国で2003年の交通死者は10万4000人と10万人を超えたあと、2006年に8万9455人、2008年は北京オリンピックによる交通規制強化により7万3484人と減少している。
中国では1年間に10万人近くが交通事故死しているのに対して、中国の8倍の車を保有している米国での交通死者は、中国の半分以下の4万3443人(2006年)である。日本では2001年から連続して年間の交通死者が減少し、2009年には4914人となった。4000人台となったのは1952年の4696人以来57年ぶりのことだ。当時の日本の自動車保有台数は109万台。現在は7800万台と70倍以上に増えているが、交通死者は車が100万台だったころに減少した。日本に比べ中国の交通死者は15倍である。
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