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斎藤文男氏のブログ  
◇まほらまの南京生活⑤◇(~ウェンナン先生行状記~)
 

◇「ローマの休日」を見て新聞記者志望◇ 

それ以来、文章を書くことがむしろ面白く感じた。新聞記者を志望するようになったのは、文章を書く面白さもあったが、高校時代に有馬稲子主演の映画「危険旅行」を見てからだ。マスコミの才女役の有馬稲子が失踪し、週刊誌の記者がスクープして一緒に旅行しているうちに恋仲になる、というストーリーである。記者は毎日会社に行かず、ぶらぶらしていていいなあ、と思った。

大学時代、「ローマの休日」の映画を見たとき、記者志望は確定的となった。アン王女役のオードリー・ヘプバーンと新聞記者の甘く切ない夢物語。新聞記者になるとこんな素晴らしい女性にめぐり会えるのだ、と早合点する性格は今も変わらない。書くことが好きで苦にならないのだから、自分でもできるだろうと、才女や王女といかなくとも、素晴らしい女性との出会いを期待して新聞記者になった。現実の生活は映画のストーリーのようにはいかない。出会って伴侶となった女性も有馬稲子やヘプバーンには及ばないごく一般的な女性だった。しかし、35年間の記者生活を終えたあと、「生まれ変わっても新聞記者になりたい」と思うほど、記者稼業が好きになっていた。小学校時代の日記の宿題が、自分の人生を決めたようなものだ。

こんな体験を、担当している学生の「写作」の授業で話をすると、作文が苦手だという学生もその気になって頑張ってくれるので嬉しくなる。嫌いでも苦手でも、毎日書き続ければ必ず上達するというのが、私の体験からの信条である。前期の9月から授業を始め、2週間に1回程度の割合で作文を書いていくと、翌年の5月ごろには、20人前後のほとんどの学生が、文章構成や表現、ものの見方などしっかりした文章を書くようになる。

◇クラス全員の長所を作文に◇

あるとき、「写作」の授業で、クラス全員の長所をそれぞれ書くように「私の級友はこんなに素晴らしい」という題を出した。この題を思いついたのは、2006年4月5日の毎日新聞夕刊コラム「しあわせのトンボ」で、近藤勝重記者が次のような内容のことを書いていたことがヒントになった。

「こころのチキンスープ」という本で読んだ米国ミネソタ州の私立中学部での話を紹介していた。

「先生のヘレンは数学の授業に一息入れようと、生徒に紙を渡し、友だちそれぞれの良いとこを書かせた。そして一人一人のリストを作り生徒に渡すと、教室中に驚きの声と笑顔が広がった。」「しかしそのことも遠い思い出のひとコマとなっていたある日、ヘレンの元教え子だったマークの悲報が届いた。ベトナムで戦死したのだ。」

葬儀に参列したヘレン先生は、マークの両親から、当時クラス全員がマークの良いところを書いたリストを見せられた。死んだ時も身に着けていたという。参列したほかの教え子たちも、それぞれ“宝物”として持っていた、という内容だった。「『あなたの長所』宝物」の見出しで、小学校時代の思い出話に触れ「子どもはよいところをほめられると、人に感謝し、好意を抱くようになる」との主旨である。

 私も同じ手法を真似た。長所の表現は、具体的に何がどのように素晴らしいのかを書くように注文した。学生はこんな作文の題を出されたことがなかったので、黒板に題を書いた時、「え~っ!」と驚いた。級友の中には当時、日本に留学している学生もいたが、その人たちについても書くように指示した。

 

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