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安倍内閣の支持率急落で起こる「ドミノ現象」
廉徳瑰  ·   2017-07-17  ·  ソース:
タグ: 安倍内閣;自民党;政治
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東京都議会議員選挙で自民党が惨敗した後、安倍内閣の支持率は下がり続けている。最新の世論調査によると、第2次安倍内閣で最低の29.9%まで落ち込み、危険域に入った。このままいくと、内閣を維持することが難しいかもしれない。そのため、安倍首相は1カ月も前から8月初めに内閣改造を行うことを発表し、有権者にメッセージを伝え、衰勢を挽回し、支持率を上昇させようとしている。

支持率は日本政治の生命線である。これまで安倍首相が野党と党内のライバルを無視して、独断専行で右傾政策を行ってこられたのは、高い支持率があったからだ。しかし小池百合子東京都知事が新たに勢いをつけると、とうに安倍首相の独断専行と「お友達内閣」に嫌気がさしていた有権者は「代替品」を見つけ、「安倍一強」神話はすぐさま崩壊の危機に瀕した。今後、こうした変化が日本の政治・外交面にどのような「ドミノ現象」をもたらすか。極めて注目に値する。

まず、日本の国内政治が再編されるかもしれない。安倍政権発足以来、自民党は安倍首相の指導下で4回連続して「国政」選挙で勝利している。これは安倍首相が今に至るまで「一強」状態を保ってきた重要な要因だ。しかし東京都議選で敗れた後、党内に安倍首相を公に批判する声も出始めている。8月に予定している内閣改造で、安倍首相は党内から広く人材を受け入れ、各派のバランスを取らざるを得なくなり、安倍首相の勢力は牽制されると見られる。

このほか、来年の総裁選挙で安倍首相の「三選九年」の夢が打ち砕かれるかもしれない。安倍首相の潜在的ライバルである岸田文雄外相や石破茂前地方創生担当相は、自民党は事態の厳しさを受け止めるべきだと発言しており、特に石破氏は「自民党に対する(有権者の)反感があった」と指摘した。さらに意味深長なのは、安倍首相の政治的盟友であり現副首相である麻生太郎氏が、引き続き安倍首相を支持するとしつつ、この肝心な時に新派閥を結成して党内での勢力を拡大し、自民党内第2の派閥となり、再び首相になる準備を整えているように見えることだ。

内閣の人気不振が有権者の自民党に対する支持度に影響するのは必至だ。もし今の衰勢が来年の衆議院選挙まで続くようなら、自民党は厳しい試練に直面するだろう。  

次に、改憲プロセスが影響を受けることになる。支持率が低くなれば、必然的に安倍首相の右傾政治理念にとって打撃となる。安倍首相は改憲意欲を持ち続けているが、実際には改憲のキーワードはすでに「改」から「加」、すなわち「加憲」へと変わっている。安倍首相は「自衛隊は違憲か」という長年にわたる議論に自身の世代で終止符を打つつもりなのである。

しかし手続き的には、「加憲」にも改憲規定が適用される。つまり各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、その後国民投票で決定しなければならない。今回の東京都議選大敗によって、安倍首相は党内からの批判にさらされている。安倍首相が短期間で党内の威信を回復できなければ、もともと改憲に反対していた自民党議員は公に非難するだろう。それに加え、護憲の公明党が反対すれば、今年末国会に自民党が改正案を提出したとしても、来年上半期に改憲を発議した際には3分の2の賛成を得ることができず、下半期に国民投票を行う計画も実現できなくなる。

第三に、日本の対外関係が試されることになる。日本国内の政局が今後どう変化するかにかかわらず、対外関係は次のような問題に直面するだろう。米国のTPP離脱は安倍首相にとって極めて大きな打撃となった。日米同盟の基盤を揺るがすことはないだろうが、米国トランプ政権のアジア太平洋戦略がまだはっきりしない今、これまでずっとオバマ政権の「アジア太平洋リバランス」政策に追随してきた安倍首相は去就に迷うことになる。また昨年年末、安倍首相はロシアのプーチン大統領を日本に招き、南千島列島(日本側名称「北方四島」)での「共同経済活動」を提案したが、日露関係の改善はその後今に至るも進展していない。実際、日露関係は進展が遅いだけでなく、たびたび不調和音が伝わってくる。

日米関係と日露関係が停滞する中、内閣支持率が低迷する安倍首相にとって、外交面で唯一点を稼げるのは中日関係改善しかない。苦境にある安倍首相は再び「中国脅威論」カードを切るかもしれないと考える人もいる。しかしそうした場合、中日関係が悪化し続ければ日本の国益にプラスではないと日本の有権者が考えれば、安倍政権の崩壊が速まるだけだ。従って、安倍首相にとって理性的な選択は、中日国交正常化45周年と平和友好条約締結40周年を機に関係改善に努め、来年上半期と下半期に両国首脳の相互訪問を実現し、地域の平和と安定に貢献して、外交でポイントを上げることなのではないか。

中日両国はどちらもアジアの大国であり、この地域の平和を守る上で回避することのできない責任がある。我々は日本側がフレームをさらに広げ、地域平和という戦略的高所から両国関係を捉えることを希望する。中日関係は国内政治の影響、特に個人理念の影響を受けてはならず、平和と両国民の幸福を最高の基準とするべきである。

(廉徳瑰、上海外国語大学日本文化経済学院教授)

「北京週報日本語版」2017年7月17日

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