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北京週報>>評論  
世界第2の強国はどこか?

 

多極化する世界

このように見てくると、今世紀初めに打ち出された「多極化する世界」という概念は、改めて議論する価値があるかもしれない。

冷戦期、旧ソ連と米国の影響力は完全に二極化していた。今にして思えば、これは正常な現象ではなく、世界構造の標準モデルでもなかった。「二極構造」形成前後の世界には、貿易分野ではある国がリードし、軍事分野では別の国が支配的地位にあり、政治・外交面ではまた別の国が絶対的影響力を持つという、相対的に不安定な状態にあった。グローバリゼーション加速と深化の時代にあって、「世界のフラット化」が論じられ、自由貿易協定が国家間障壁を打破する今、「支配的地位を持つ国のうちどこが世界の発展方向を支配できるか」を議論することにまだ大きな意義があるだろうか?今、この分野における競争は激化しているようである。

将来の潜在的脅威の本質を考えると、世界に目を広げ、国内のみを重視し優先的に考えるのではない態度がますます重要になってきている。大多数の人が、「今の世界には前世紀のような大規模な暴力事件はもう起きない」という考えに賛同している。米国の科学者スティーブン・ピンカーが著書『The Better Angels of Our Nature』で述べているように、現代世界では、暴力手段で意見の違いを解決することは少なくなっている。第2次世界大戦がもたらした恐怖と核戦争放棄の保証は、各国が「今後はもうあれほど大規模な衝突は発動しない」という共通認識に達するに足るものだ。世界が今直面している脅威は、地域テロリズム、飢餓、そして最も人々を不安にさせる気候変動による悪影響である。これらの問題に国境はなく、世界的な行動によってしか解決できない。超大国であってもこうした問題の影響を免れることはできない。

発展についての共通認識に基づくと、中国は次の10年間に世界最大の経済体になる可能性が高い。一方米国は軍事・政治面で支配的地位を保ち、1人当たり資産は依然高い水準を維持し、その世界規模の同盟も強さを保つと見られる。したがって、米国と中国間の調和の取れた互恵関係は、予見可能な将来において世界で最も重要な関係になるだろう。

しかしその他にも、資源優位性を有するロシア、巨大市場を持つEU、新興経済体のブラジルとインドなど、一部の国・共同体もまた別の理由で非常に重要な役割を果たすだろう。要するに、多くの側面から見て、我々は世界における順位にこだわらず、世界全体の水準を考慮するべきだ。経済実力はむろん重要だが、ある国の国際影響力を測る唯一の指標ではない。その他の角度で思量することも必要だ。例えばオーストラリアは、その戦略的位置と国際環境問題での影響力によって、重要な役割を果たしている。

数年前に起きたEUの経済危機は、世界に向けて「大国だけに注目して小国の利益を軽視してはならない」という警告を発した。なぜなら、ユーロ圏の問題はドイツやフランス、イギリスなど大国から発生したのではなく、ギリシャというEUで最も小さな国の1つから始まったからである。 

(筆者は『北京週報』特約コラムニスト、オーストラリア大学中国研究センター主任) 

「北京週報日本語版」2013年9月6日

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