直接投資
直接投資分野では、危機は中国の外資利用に対し二重の影響を及ぼす。1つは親会社の危機による投資引き上げで、もう1つは母国市場が衰退し中国国内市場が拡張したことによる中国への投資拡大である。現時点では、後者の影響のほうが大きいはずだ。しかし一部の欧州を背景とするプライベート・エクイティ・ファンドなどはその活動の速度を落とすだろう。
中国の対外投資に対しても二重の影響がある。1つは危機によって一部の在欧州中国資本企業に欠損が生じ、国内の親会社にその累が及ぶことだ。中国企業の欧州での直接投資規模はそれほど大きくなく、まだユーロ圏危機による企業の連鎖倒産リスクが発生するには至っていない。欧州の中国企業は大きな打撃を受けるだろうが、中国政府が十分に関心を払い難関を突破するのを手助けする必要がある程度にとどまると見られる。このほか、今回の危機は中国企業に欧州の流通段階などへの参入やEUへの輸出効果・利益を高めるチャンスをもたらし、欧州各国政府の中国企業への態度もより積極的なものになるだろう。
中長期的影響
長期的に見ると、今回の危機はEUの脆弱性と行動力不足を十分に露呈した。欧州の人口高齢化を鑑みると、その国際的地位は全体的に下がり続けるだろう。また、西欧で人口が最も急増し人口構造が最も若い人々はイスラム教徒移民で、「Eurabia」といった呼び名まで生まれており、その潜在的危機も軽視できない。
中期的に注目すべきは失業問題だ。長年、EUの失業問題は同じ先進国である米国より深刻な状態が続き、サブプライム危機以降は緩和されるどころかますます深刻化している。ユーロ圏の失業率は2009年4月に9.2%(失業者1460万人)に達し、1999年9月以来の最高水準となり、EU27カ国の失業者数は2082万5000人、失業率は8.6%に達した。それから2年余りたった今も、欧州の就業・雇用状況は改善されていないばかりか、かえって悪化している。ドイツ連邦統計局と欧州委員会の統計によると、EU27カ国の24歳以下の青年の平均失業率は20.5%で、500万人の若者が仕事を見つけられずにいる。「PIIGS」(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)の青年失業率はすでに27%、27%、28%、38.5%、47%にまで達している。欧州経済の「模範生」ドイツですら、失業率は9.1%もある。しかも、EU各国が推進しようとしている政府支出削減はソブリン債危機対応に必須であるものの、短期的には就業・雇用状況をいっそう悪化させる。欧州がこうした抜き差しならない状況を脱するには強い行動力が必要だが、欧州に足りないのはまさにその行動力なのだ。
今回の経済危機によってもたらされた青年人口の大量失業には、欧州社会に大きな打撃を与える可能性が潜んでいる。この2年、欧州各国では大規模なデモ行動が起きており、英国ロンドンなどの都市では深刻な騒乱まで発生し、今回の危機の社会に対する悪影響が表面化し始めている。特に失業青年の中には高学歴失業者も多数含まれており、彼らが教育のために支払った費用が高いほどその見返りに対する期待も高くなり、失業時の挫折感と憤懣もそれだけ強くなる。また高い教育により彼らは広い社会ネットワーク力と扇動力を持っている。その上、人口高齢化に対応するために欧州各国は退職年齢を引き上げたが、これがさらに若者の就業機会を狭めているのである。
「北京週報日本語版」2011年12月13日
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