大口商品市場でも、地震の短期的影響と中期的影響はセオリーとは逆の方向に向かうだろう。ただし、円相場への影響とは反対で、初めは下落しその後上昇し、その上潜在的インフレ圧力も存在する。現時点では、日本の地震は大口商品業界市況と世界のインフレ圧力に対して正面から冷や水を浴びせた格好だ。日本のような工業大国が大規模な生産停止になるということは、エネルギーや鉱産物などの需要が急に激減することを意味するからだ。推定によると、日本の鉄鋼企業が生産停止するだけで、海運鉄鉱石の需要が2200万トン減るという。まさにこうした理由で、日本大地震の後、アラブ世界の動乱、特にリビア内戦で急騰した国際原油価格がにわかに下落し、鉄鉱石価格が200ドル/トンの史上最高値をつけたの三大鉄鉱石企業が喜ぶ間もなく、鉄鉱石の現物市場価格はわずか2取引日で170ドル/トンに下がった。日本の震災後の復興は大量の鉄鋼需要を生むと市場がおおむね予測しているにもかかわらず、投資家と取引業者の鉄鉱石価格に対する自信もまだ完全に回復していない。
しかし、震災後の復興再建が進めば、一部大口商品市場が活況を呈す可能性は高い。特に原油価格は、原発事故によって世界的に反原発運動が盛り上がり各国の原発計画が見直されることになれば、原油価格にとっては強力な後押しとなる。すでに内戦から国際戦争となったリビア戦争が長引けば、アラブ世界の政治動乱はさらに蔓延、悪化する事態にまで至り、原油価格を引き上げる力がさらに強まるだろう。
日本銀行の大規模な市場救済資金注入には、地震と被災者救済によるさらに大きなインフレ圧力が潜む。3月14日の金融政策決定会合で、短期金融市場に対し18兆円(約1兆4380億元に相当)の緊急資金供給オペを行うことが決定され、金融市場安定のために日本が行った緊急資金供給オペとしては最大規模となった。しかも被災地域の支店・事務所を通じて金融機関に対し臨時で410億円の資金供給を行ったと発表し、その後も一連の新たな資金供給オペを行った。2008~2009年の世界金融経済危機ピーク期に各国が行った強力な危機対応措置は、2010年以降、世界的なインフレと新興市場の資産バブルという禍根を残した。では、今回の日銀の緊急措置はインフレ圧力にどのような影響をもたらすのか?忘れてはならないのは、日本が長年にわたって世界金融市場の主要な資本輸出国であったことだ。日本の大規模資金供給オペの影響は必ず他国に波及する。ただ単にその時期が早いか遅いか、程度はどのくらいかという問題にすぎない。
「北京週報日本語版」2011年3月29日 |